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冷やしても死なない細胞についての論文が出ました

冬眠する哺乳類の細胞は冷やしても死にませんが、ヒトやマウスなど冬眠しない哺乳類の細胞は冷やすと死んでしまいます。もう少し正確に言うと、ヒトやマウスの細胞は、冷やした状態が長時間続くと死んでしまいます。冬眠する哺乳類の細胞は長時間の低温に耐える何らかの仕組みを持っているはずで、その仕組みについて調べた論文を、細胞死の専門雑誌Cell Death and Diseaseに発表しました。当研究室の曽根さんが中心となって進めた仕事で、卒業生の三橋さんの貢献も大きいです。ある種の遺伝子を操作すると、ヒトやマウスの細胞も低温で死ななくなるという発見です。詳細はこちらのプレスリリースをご覧ください。

追記:
日経バイテクマイナビニュースに取り上げられました(24/9/20, 9/24)。
朝日新聞が
記事にしてくれました(24/9/27)。

Press release in English is
here (24/10/1)。

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冬眠を司る二つのリズムを予測した論文が出ました


冬眠の際の劇的な体温変化は、周期の大きく異なる二つのリズムの相互作用で説明できることを提唱する
論文を発表しました。理研iTHEMsの黒澤さん・儀保さんが中心となって行った研究の成果です。今後このモデルを活用した新しい研究展開ができると期待しています。詳細はこちらのプレスリリースをご覧ください。

冬眠期の爪の伸びに関する論文を発表しました

冬眠中のハムスターは爪は伸びるのか?素朴な疑問への答えを出した論文がJournal of Physiological Science誌に掲載されました。実験開始当時、獣医学部学生だった石本太我君が授業の合間をぬって実験してくれた成果です。北大医学部皮膚科学教室の夏賀さん・小住さんとの共同研究論文です。

追記
24/5/14:
プレスリリースで一般向けに解説しています。可愛いハムスターのイラストは恐竜画家Canさんにお願いしました。
24/5/26 : 産経新聞(有料電子版)で
紹介されました。
24/6/11 : 
JST Science portal, Yahoo, Mynaviで紹介されました。
24/6/25 :
ナショナルジオグラフィックでも紹介されました。




低温耐性に関する総説を書きました

冬眠する哺乳類の低温耐性に関する総説をFrontiers in Physiologyに発表しました。

冬眠に入る際にゆっくりと体温が低下することが遺伝子産物状態に影響を与えることを見出した論文を発表しました

冬眠に入る際には徐々に体温が低下していきますが、このゆっくりとした体温低下が細胞や組織の遺伝子産物の状態、具体的には、遺伝子産物mRNAの3’末端長、に影響することを曽根助教が見出し報告しました。

冬眠哺乳類の低温耐性に必要な因子を発見したプレプリントを発表しました

なぜ私たちヒトなど冬眠しない哺乳類の細胞は10度以下の低温だと死ぬのに、冬眠する哺乳類の細胞は死なないのか?この「低温耐性」に遺伝子から迫る曽根助教らの研究をbioRxiv(注1)に発表しました。

注1:生物系のプレプリントサーバーの先駆け。プレプリントは専門家によるチェック(査読)前の論文のことで、迅速な情報共有に有用です。現在論文は査読有の雑誌で審査中です。

冬眠明けに体温日周リズムが夏型回帰することを発見した論文を発表しました

大学院生の中川君の論文が出ました。シリアンハムスターが冬眠に入る前と冬眠から明ける際に、体温日周リズムをどのように変化させているのかを明らかにしました。

プレスリリースは
こちら
マイナビニュース日本経済新聞が記事にしてくれました。

低温科学81巻「動物の寒冷適応戦略〜生理生態と分子機構」

低温科学研究所では毎年、寒冷・低温の関連分野を中心に、所内教員が編者となって「低温科学」という特集号を発刊しています。2022年度は山口が担当となったため、所内編集委員とともに、「動物の寒冷適応戦略〜生理生態と分子機構」という特集号を企画・編集しました。私の専門である哺乳類冬眠の話題が多くなりましたが、そこに限定せず、昆虫やナメクジといった無脊椎動物の寒冷適応から、トガリネズミやニホンザルの行動生態学的視点のものも含め、幅広い話題の記事をご寄稿いただくことが出来ました。突然の依頼にもかかわらずご執筆頂いた著者の皆様に感謝です。編集時間の都合で全ての分野や動物種を網羅することは当然できず的を絞ったコンパクトなものとはなりましたが、あらためて冊子として出来上がったものを見ると、なかなか多様な視点からの面白い特集号になったと思います。冊子体は部数に限りがあるのですがPDFは低温研HPから自由に閲覧(リンク先重いです)可能ですので、ご興味ある方はぜひご覧ください。

230504 hyoushi teionkagakuのコピー

ハムスターの低温耐性にビタミンEが関わることを発見した論文が出ました

シリアンハムスターの肝臓が冬眠の際の低体温でも傷つかない仕組み(低温耐性)に関する論文が、生物学の専門誌、Communications Biologyに掲載されました。研究内容の詳細はプレスリリースをご覧ください。

この論文の核となった、餌依存的に低温耐性が変わるという現象は、3年前に東大から北大に異動したことがきっかけとなり見つかりました。東大での実験で見れていた低温耐性が北大での実験では見れなくなったのです。違いは水か?気温か?と、当初かなり迷走し長い夜に突入したかに思えました。しかし原因がわかってみれば、むしろそこが突破口となり、劇的に研究が進みましたし、現在の様々な新展開につながっています。何がきっかけになるかわからない、セレンディピティ(
serendipity)を身を以て実感した事例です。

(7/7追記)
JSTのサイエンスポータルが
記事にしてくれました。Yahoo news, マイナビニュースにも転載されています。
(9/21追記)
日経電子版、読売新聞北海道版(「エウレカ!北大」)でも取り上げられました。

姉明けない夜はない圧縮
姉川君と山口@5年前の国際冬眠学会、グランドキャニオン




実験医学でミニ特集の記事を書きました

実験医学4月号(羊土社)で「冬眠・休眠のバイオロジー」というミニ特集を組みました。北里大学の塚本さん高松さん(シマリス冬眠研究)と理研BDRの砂川さん(マウス休眠研究)も寄稿されています。まだまだ未開拓だけど夜明けが近い(はず?の)冬眠休眠研究の現在についてわかりやすく説明しています。ご興味ある方はぜひご覧ください。


春の訪れ
北海道も雪解けを迎え、例年より早い春が訪れました。冬眠研究分野も雪解け近し、の予感です・・・!

胎児サイズに関する論文がでました

哺乳類胚発生と代謝に関する仕事が論文になりました。山口の前任地の東京大学大学院薬学系研究科遺伝学教室(三浦正幸教授主宰)の卒業生、宮沢君(現EMBL@Heidelgerg研究員)と村松さんの共同筆頭著者論文です。胎盤と胎児の相互作用が強まる妊娠中期で、Lin28aという遺伝子の発現が適切に制御されることが、生まれてくる新生児のサイズ決定に重要であることを示しています。胎児サイズがどう決まるのかという問題に対して、分子機構の手がかりを与えるという意味で意義深いと考えています。村松さんは就職後も休みにはラボに来て論文仕上げを頑張ってくれました。お疲れ様でした!

Miyazawa H, Muramatsu Y, Makino H, Yamaguchi Y, Miura M.
Temporal regulation of Lin28a during mammalian neurulation contributes to neonatal body size control.
Developmental Dynamics 2019 Jul 13. doi: 10.1002/dvdy.87. [Epub ahead of print]

冬眠に備えた白色脂肪変化を明らかにした論文が出ました

冬眠に備えてシリアンハムスターが冬仕様の体に変化する様子を捉えた論文が生理学の専門誌、Frontiers in Physiologyに掲載されました。研究内容の詳細はプレスリリースへ。

日本経済新聞紙面でも
紹介(有料記事)されました。
産経新聞Web
びっくりサイエンスでも紹介(有料記事)されました。(2019.2.17追記)
北海道新聞紙面でも紹介されました(2019.4.7追記)


東大ハム小屋IMG_1259のコピー
現在の冬眠研究をゼロから立ち上げてくれた論文筆頭著者の茶山君と、第二著者の安藤さん
(前任地の東大薬学部のハム冬眠小屋前にて、懐かしの写真!!)

月刊「細胞」8月号で特集「低温の生物学と医学」を組みました

月刊「細胞」8月号で「低温の生物学と医学」という特集を編纂させて頂きました。特集以外にも冬眠や低温の生物学・医学関連の話題が載っています。ご興味ある方はぜひご覧ください。