一般・学生向け
低温研で活躍する学生

酒井 貫志
宇宙物質科学分野/理学院 宇宙理学専攻 D1
写真奥の装置は、金属を高温で蒸発させ、気体中で微粒子が生成する過程を赤外分光法でその場観測できる実験装置です。
低温研を知ったきっかけは?
学部時代は、他大学で宇宙における銀河の形成過程に関する研究を行っていました。大学院進学に向けて研究室を探していた際、学部時代の指導教員から現在の研究室を紹介されたことが、低温研を知るきっかけでした。その後の研究室見学では、独自に開発されたさまざまな実験装置を実際に見ることができ、自由な発想で独創的な研究に取り組める環境に魅力を感じました。この経験を通して、「ここで研究をしたい」という思いが強くなり、大学院への進学を決めました。
低温研で今どのような研究をしていますか?
私は、宇宙空間で形成されるダストなどの微粒子の生成過程を実験室で再現する研究を行っています。原始太陽系星雲や星周環境では、高温で蒸発した物質が冷却されることで新たな粒子が形成されますが、その詳細な生成メカニズムには未解明な部分が多く残されています。私は、金属酸化物や水氷ナノ粒子を気相から生成し、その場赤外分光法によって固体微粒子が生成する瞬間をその場観測するとともに、透過型電子顕微鏡で粒子の構造や形態を解析しています。実験結果を天文観測や理論モデルと比較することで、宇宙で観測されるダストがどのような環境で形成されたのかを明らかにすることを目指しています。
大学院進学を決めた理由は何ですか?
学部で研究を進める中で、実験の中で得られた結果から新しい知見を見いだすことのおもしろさを実感しました。一方で、学部での研究期間だけでは十分に深く取り組めない課題も多く、「自分でテーマを設定し、試行錯誤しながら主体的に研究を進めたい」という気持ちが強くなりました。また、将来も研究に携わりたいと考えていたため、より高度な専門知識や研究手法を身に付けられる環境として、大学院への進学を決めました。
なぜ今の研究をやろうと思ったのですか?
宇宙に存在する固体物質の起源であり、惑星形成の初期段階を担う重要な構成要素であるダストが、どのような環境や過程で生成されるのかという根本的な問いに興味を持ったことが、この研究を始めた理由です。天体観測では多くの情報が得られますが、実際に固体粒子が生成する瞬間を直接観測することは困難です。そこで、実験室で宇宙環境を再現し、その場観測によって粒子の生成過程を調べる研究に興味を持ちました。研究室には、低温環境や真空環境を利用した実験装置と電子顕微鏡を組み合わせて研究できる環境が整っており、自分の興味を実現できると考え、このテーマに取り組んでいます。
研究のおもしろい点はどこですか?
実験条件を少し変えるだけで、粒子の大きさや形、結晶構造が大きく変化することがあり、予想外の結果が得られるところがおもしろいと感じています。また、自分で得た実験データを解析し、その結果を宇宙で起こっている現象と結び付けて考えられる点にも魅力があります。未知の現象を少しずつ解明していく過程に、研究のやりがいを感じています。
学部までの研究室と違いはありますか?どんなところが違いますか?
学部時代の研究室では、主に与えられたテーマの中で実験や解析を進めていましたが、低温研では、自分で研究計画を立て、実験装置の改良や新しい測定手法の検討まで主体的に取り組める点が大きく異なります。また、研究室にはさまざまな分野を専門とする研究者が在籍しているため、自分の専門とは異なる視点から助言をいただく機会も多くあります。さらに、学会での発表や共同研究を通じて異分野の研究者と交流する機会も多く、新たな発想や知見を得ながら幅広い視野で研究に取り組める環境だと感じています。
これから大学院進学を志す後輩へのアドバイスは?
大学院では、自分で課題を考え、試行錯誤しながら研究を進める機会が増えます。そのため、「何を研究したいか」だけでなく、「どのような環境で研究したいか」を考えることも大切です。興味のある研究室があれば、ぜひ見学や先生・学生との交流を通して雰囲気を感じてみてください。研究は思い通りに進まないこともありますが、その過程で得られる経験も大きな財産になると思います。

写真:生成した微粒子を透過型電子顕微鏡で観察する様子。
(2026.9)
