一般・学生向け

低温研で活躍する学生

顔写真

亀尾 辰砂

生物適応分野/環境科学院 生物圏科学専攻 D2

写真:HPLC(高速液体クロマトグラフ)を用いた緑藻の色素解析の様子。50 種以上の色素を分離することができます。2つのフラスコの培養液の色の違いは、それぞれの緑藻が持つ色素組成の違いを反映しています

低温研を知ったきっかけは?

最初に低温研を知ったのは、小さい頃に雪の結晶についての記事をどこかで読んだことがきっかけだったと思います。昔から光り物や鉱石の結晶を眺めることが好きだったこともあり、まるで作り物のような、美しい雪の結晶の姿にロマンを感じたことを覚えています。低温研は物理や大気・海洋を研究する場所という印象があったため、のちに光合成の基礎研究を行っていると知った時は少し驚きました。

低温研で今どのような研究をしていますか?

光合成を司るタンパク質である光化学系タンパク質複合体の、特に光を集める部位に着目して研究を進めています。私たちは非モデル緑色植物を含め、様々な環境に生息する光合成生物を研究対象としており、光合成の多様性と進化、光環境適応について研究することができる点が魅力だと感じます。私は海や淡水に生息する緑藻の培養と光化学系タンパク質複合体の分離に取り組んでいます。光化学系タンパク質複合体の分離のためにはたくさんの培養液が必要になるため、様々な培地を用いて培養を試すことも重要な実験の一つです。また、コンピューターを使ったタンパク質の解析も行っています。

どのように今の研究室を選んだのですか?

私は非モデル生物を使った光合成研究に興味を持っていたため、まずは光合成を行っている研究室のホームページをいくつか閲覧し、非モデル生物を扱っている今の研究室への訪問を決めました。そして当研究室において主要なタンパク質分離法となっている Clear-Native (CN)-PAGE を実際に体験させていただきました。CN-PAGE で分離した光化学系タンパク質複合体は生体内での構造を保っていると聞き、興味があった「光化学系タンパク質複合体のダイナミクス」について研究ができることを確信しました。また、訪問の際にお話しさせていただいた先輩や先生に丁寧に対応していただけたことも印象深く、今の研究室を選びました。

なぜ今の研究をやろうと思ったのですか?

学部生時代は他大学で水産学を専攻しており、受講した藻類学の授業でレポートを書くために光合成について調べる機会がありました。その際に知った、ある特定の波長の光を当てると、光化学系タンパク質複合体の一部のタンパク質が動く「ステート遷移」と呼ばれる現象に興味を持ったことが光合成研究をしたいと思ったきっかけです。この現象を知り、光による光合成の調整という現象そのものと、タンパク質複合体のダイナミクスを研究するための技術に興味を持ったため、その両方を経験できる今の研究室へ行くことを決めました。また、様々な環境に生息する藻類を使った研究がしたいと思っていたため、非モデル緑藻を使用する今の研究を選択しました。

研究のおもしろい点はどこですか?

自分が学部生までに学んできた知識・技術と、今の研究室で積み上げた知識・技術を両方活かすことができる点です。これらを活かし、データや先行研究から仮説や実験系を考えることで、自分らしい研究ができると感じています。また、学会参加を通じて同世代の知り合いができ、彼らと研究の話をしたり、共同研究をするようになったりすることも面白い点の一つだと思います。

休日はどのように過ごされていますか?

部屋の掃除・運動・海外ドラマ鑑賞などをして過ごしています。最近、ぎっくり腰になってしまったので特に背中の筋トレに努めています。友達と公共プールへ行って泳ぐこともあります。海外ドラマは、鑑識のシーンで科学用語が頻出することや、ロケが行われている場所の文化を垣間見ることができる点が好きでクライムサスペンスをよく見ています。

これから大学院進学を志す後輩へのアドバイスは?

大学院進学を志す理由は人それぞれあると思いますが、まずは自分が何をしたいのかを一番に考えて選択されるのが良いと思います。また、研究室のメンバー、習得できる機器や技術はもちろん、研究の進め方やポリシーと自分がマッチするのか確認することも重要なポイントだと思います。最近は札幌の夏もかなり暑いので、引っ越しをされる際はエアコンのあるアパートを借りることをお勧めします。

低温研

緑に囲まれた低温研。私たちの研究室では実験室内で育てた生物だけでなく、低温研の周りに生育している植物も研究対象としています。

(2023.9)

北海道大学低温科学研究所
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