下の動画は、風によって運ばれる吹雪粒子を(Lagrange 的に)追跡することによって、一様な雪面上に発達する地吹雪をコンピュータで再現したものです。格子ボルツマン法(Lattice Boltzmann method; LBM)と呼ばれる数値流体力学の手法を用いて雪面付近の風の乱流を再現することで、乱れた風によって雪面から雪粒子が取り込まれ、次第に上空へ舞い上がる様子が再現されています。風が強いほど、より濃度が高く、より高さのある地吹雪が生じることが分かります(Video 1)。 また、雪面に接する風の乱れにより、吹雪粒子の濃度に筋状のパターンが現れ、激しく変動しながら流れる様子が再現されています(Video 2)。 このような地吹雪の空間分布は、雪面近くの風の流れ(乱流)の構造と密接に関係しています(Fig. 1)。
Video 1. 地吹雪が時間とともに発達する様子(開始後10秒間)。各パネルは下のものほど風速が強い場合を表します。この計算では、雪面から放出される多数の吹雪粒子の集合を1つの粒子とみなし、乱流の風による動きを再現しています。図に示された無数の白い点が個々の粒子集合を表し、それぞれの粒子集合に含まれる粒子の数や粒径に応じた不透明度が設定されています。 高さ1m の平均風速:(a) 7.2, (b) 9.3, (c) 12.7 m/s
Video 2. 地吹雪の水平分布(上の動画の (b) のケースを上から見下ろしたもの)。地吹雪の濃い部分が雪面上をうねりながら流れる様子が分かります。この現象を "snow streamer" と呼びます。同様な現象は砂浜や砂漠の飛砂現象にも見られます。
Fig 1. ある瞬間における地吹雪の水平分布と雪面直上の風の関係。点:地吹雪濃度の高い地点、カラーマップ:雪面上2.5cmの風の偏差(左:水平風速、右:鉛直風速)。 上の動画で見られる snow streamer は、水平風速が弱い上昇流の部分に対応し、全体的に風が強い領域(この図の例では2本の破線で挟まれた部分)で特に多く出現することが分かります。
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