3.  東サハリン海流

東樺太海流の鉛直断面図(53゚N)

 東カラフト海流流量の季節変動(53゚N)

ふるくより、サハリン東岸沖には南下する流れがあることが船のドリフトや海氷・水魂の移動から推測されており、東サハリン海流と呼ばれていた。しかし、直接測流がほとんど行われておらず、この流れの実態は定量的には何もわかっていなかった。係留観測や表層ドリフターによる観測によって、海流の流量・構造やその季節変動が明らかになってきた。東サハリン海流の流量は年平均で7Sv(1Sv1063s-1)、12月に12Svで最大となるような大きな季節変動をする。流れは陸棚斜面を中心に持つような構造となっている。東サハリン海流は、海氷(従って淡水や負の熱も)を南へ運ぶ、中層水の起源となる高密度陸棚水を南へ運ぶなどから、北太平洋規模の熱塩や水魂の収支・循環にも重要である。また社会的には、サハリン油田で油流出が起こった場合など汚染物質を北海道沖へ運んでしまう海流であることもあり、その意味でも重要である。

TOPに戻る  前へ 次へ