共同研究報告書
| 研究区分 | 一般研究 |
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研究課題 |
グリーンランド南東ドームコア中の燃焼起源エアロゾル物質の測定と観察 |
| 新規・継続の別 | 新規 |
| 研究代表者/所属 | 名古屋大学大学院環境学研究科 |
| 研究代表者/職名 | 特任助教 |
| 研究代表者/氏名 | 上田紗也子 |
| 研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
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氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
大畑祥 | 名古屋大学宇宙地球環境研究所 | 助教 |
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2 |
飯塚芳徳 | 北大低温研 | |
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3 |
関宰 | 北大低温研 | |
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4 |
的場澄人 | 北大低温研 | |
| 研究目的 | 化石燃料の燃焼やバイオマスバーニングなど燃焼活動の際には、黒色炭素(BC)や有機物、金属などを含む微細なエアロゾル粒子が大気中に排出される。産業革命以降の人間活動は多くの燃焼起源エアロゾル物質を排出してきた。本研究では、グリーンランドで掘削された過去220年分に相当するアイスコアに対し、BC濃度測定と微細水不溶性物質を対象とした透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行った。サイズ別のBC濃度と、その他の燃焼起源物質の観察から、排出源および大気輸送過程に関する情報を収集し、近代の人間活動による大気環境への影響とその変遷を理解することを目的とする。 |
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| 研究内容・成果 | グリーンランド南東の高涵養量地点(SE-Dome II)で掘削されたコアの一区画を利用し、BC測定用と有機物(全量測定用と化学種同定用)の融解試料を作成した。本研究では、一区画を一年4季(全880試料)に分けたコアを、低温科学研究所の低温室のクリーンブース内でコンタミの除去処理を行い、融解して各測定用に分注した。BC測定用の試料は名古屋大学に輸送し、Single-particle soot photometer (SP2)を用いたシステムにより測定した。BC測定およびTEM用の試料保管法に関する評価実験の結果については当該年に国際誌で公開している(Ueda et al., 2025)。この試験実験により、ガラス瓶を利用したBC用試料からTEM試料を作成できないことが判明したため、ガラス不使用の別の分画(イオン分析用の試料の一部)を利用してTEM観察用の試料を作成した。BC濃度測定は2022年度から科学研究費(若手研究:22K18023)により進められてきた。本年は一般共同研究の支援と併せ、約230試料の処理を行うことができた。これにより、全ての試料のコンタミ処理が終了し、2026年4月には220年分のBC濃度が繋がる予定にある。現状の分析結果から、次のことがわかってきた。 (1)BC濃度の年々変動 BC濃度は、産業革命期に相当する1880年ごろから1950年ごろに高く、それ以降は産業革命前より少し高い程度に減少する傾向が見られた。この傾向は、グリーンランドの他の地点のアイスコアでも同様にみられている。ただし、計算されたBCフラックスは、SE-Dome IIの方が、高濃度イベント時や1930年代が内陸部と比べて高い傾向にあった。これらのイベントや年代は、南東方向からのBCの排出影響が大きかったことが示唆された。 (2)近年と産業革命期の水不溶性粒子 2013年と1910年のコアからTEM試料を作成し、サブミクロンの水不溶性物質をTEM観察した。BCに相当するスス粒子(〜50 nm炭素質小球の凝集体)と、それと同等以上のスス以外の炭素質粒子が観られた。特に、2013年には殆ど見られなかった有機物の凝集体(70 nm以上の炭素質球の凝集体)が1910年には多く観られた。排出源のTEM分析の報告を参照すると、化石燃料燃焼では有機物の球体や凝集体はほぼ発生しない。有機物の凝集体の存在は、木材等の燃焼による排出物の大気質への寄与が近年より大きかったことを示唆している。 |
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| 成果となる論文・学会発表等 | S. Ueda, S.Ohata, Y. Iizuka, O. Seki, S. Matoba, H. Matsui, M. Koike, and Y. Kondo, Evaluation of sample storage methods for single particle analyses of black carbon in snow and ice: Merits and risks of glass and plastic vials for melted sample storage, Aerosol Science & Technology, doi:10.1080/02786826.2025.2542900, 14 Aug 2025. |