共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

ミリ波サブミリ波超広帯域分光撮像観測に基づく星間物質進化の研究
新規・継続の別 継続(H28年度から)
研究代表者/所属 北見工業大学
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 竹腰達哉

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

河野孝太郎 東京大学天文学教育研究センター 教授

2

田村陽一 名古屋大学 教授

3

酒井剛 電気通信大学 教授

4

中坪俊一 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 主幹研究開発員

5

遠藤光 デルフト工科大学 准教授

6

木村勇気 北大低温研

7

藤田和之 北大低温研

8

森章一 北大低温研

研究目的 星や銀河の材料となる低温のガス・ダストの観測的研究は、銀河、星、惑星の形成過程を探るうえで重要である。本研究では、天体形成に直結する100K以下の低温の星間物質を効率よくトレースし、天体の赤方偏移、あるいは温度や質量といった物理量を推定するうえで最適な、ミリ波サブミリ波帯の超広帯域観測の実現を世界に先駆けて達成する。2025年度においては、新観測装置FINERの光学系・駆動系の設計と製作を行うとともに、望遠鏡への搭載を目指して共同研究を実施した。
北見工大で組み上げられたFINER光学系保持機構  
研究内容・成果  本研究課題で開発を進めているメキシコの50mミリ波望遠鏡LMT用の超広帯域受信機FINERについては、2026年度中の望遠鏡搭載を計画している。2025年度においては、本共同研究課題においてこれまでに完了した光学・機械系設計に基づき、受信機反射鏡群と、駆動系を含む光学系の保持機構の製作を、低温研技術部、宇宙科学研究所、北見工業大学の連携で実施した。また、低温研技術部で製作した搭載用楕円鏡群6枚の曲面形状計測の解析を行い、高周波での観測に問題ない約5μmの鏡面精度を確認した。光学系保持・駆動機構については、低温研および宇宙科学研究所の共同で部品製作を行い、北見工業大学において組み上げを行った。図1に示すように、光学系については駆動系も含めて製作と組み上げを完了し、現在駆動系の試験を実施中である。FINERの今後の計画としては、2026年冬の光学系単体での駆動試験を経て、2026年春に国立天文台における受信機との統合評価試験、そして2026年夏にメキシコLMT望遠鏡への搭載・試験観測を実施する計画である。
 本研究課題においては、2024年に実施したオンチップの超伝導フィルターバンクを用いた超広帯域分光計DESHIMAの科学評価観測も行っている。今年度は2024年度に取得した観測データの強度較正など、主にデータ較正において進展があった。過去に本共同研究で開発された大気熱放射を利用した強度較正手法(Takekoshi et al. 2020)では、本セッションにおいて取得された低周波側での較正において精度の低下が見られたため、低周波においては新たな強度較正の重要性が示唆された。特に過去の一般共同研究においてサブミリ波カメラ用に開発された黒体温度光源(Takekoshi et al. 2018)を用いることで精度を改善できる可能性があり、2026年度においてはTIFUUN用の本装置の設計・製作も実施したい。また、DESHIMA科学観測データの解析も、初期宇宙の星形成銀河、銀河団のスニヤエフ-ゼルドビッチ効果などの観測データに対して進められており、今後の科学的成果が期待される。

北見工大で組み上げられたFINER光学系保持機構  
成果となる論文・学会発表等 Haoran Kang et al., "Development Overview of Far-Infrared Nebular Emission Receiver Project", International Symposium on Space Terahertz Technology (ISSTT) (04/2025, Berlin, talk)
Tatsuya Takekoshi, Haoran Kang, Takeshi Sakai, Tai Oshima, Kaoru Tsuji, Kazuyuki Fujita, Yuki Kimura, Shunichi Nakatsubo, Yoichi Tamura and the FINER team, “Optics and Supporting Mechanics for LMT-FINER”, International Symposium on Space Terahertz Technology (ISSTT) (04/2025, Berlin, poster presentation)