共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

札幌における分光反射特性を利用した地吹雪検知のための地上観測
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 富山大学
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 杉浦幸之助

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

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的場澄人 北大低温研 助教

研究目的 風が強くなると雪粒子が舞い上がり地吹雪が発生する.地吹雪は南極氷床の表面質量収支に影響し,雪粒子の昇華により氷床質量を減少させるとともに,水蒸気を大気へ供給して気候変動にも関与する.また交通障害など生活への影響も大きい.これらの影響を明らかにするためには,地吹雪の実態を広範に把握する必要がある.申請者らは,光学センサーGCOM-C/SGLIに着目し,特定波⻑の反射率と地吹雪発生との関係を明らかにして,衛星観測から新たに地吹雪を検知する手法を検討している.本研究では,分光反射特性と地吹雪の発生との関係を明らかにするための観測体制を構築するとともに,札幌での地吹雪に関する実測データを収集する.
図1 2024年12月5日から2025年4月3日までの北海道大学低温科学研究所露場での吹雪質量フラックス  
研究内容・成果 地上観測サイトは北海道大学低温科学研究所の露場とした.本露場では,気象庁気象研究所と北海道大学低温科学研究共同研究により,放射収支計をはじめとする各種気象観測機器が整備されており,複数年にわたり気象データのモニタリングが実施されている.本研究ではこれと並行して,露場内の10m観測タワーに吹雪計を設置し,雪面付近(1.5m)と10mの2高度において,冬季の長期間にわたる吹雪の時間変化を観測する体制を構築した.これにより,札幌における地吹雪に関する実測データを継続的かつ確実に収集する.なお,本研究では分光放射データに関して気象庁気象研究所の谷川朋範氏,またGCOM-C/SGLIデータに関して富山大学の堀雅裕氏の協力を得ており,これらの研究協力のもと観測体制を整備した.
2026年寒候年の観測に向けて,2025年12月1日に北海道大学低温科学研究所露場へ2高度(10mおよび1.5m)の吹雪計を設置した.これらの吹雪計は,根雪終了後の2026年春に撤収し,データ回収を行う予定である.前年の2025寒候年に同露場へ設置した吹雪計による観測データ(10mおよび1.5m高度における1時間ごとの吹雪質量フラックス)の時系列を図1に示す.図中では10m高度を青線,1.5m高度を赤線で示している.2025寒候年における札幌の長期積雪は2024年12月5日から2025年4月3日であり,本図ではこの期間に観測された吹雪質量フラックスをプロットしている.観測結果から,各月において少なくとも4回以上の明瞭な吹雪イベントが発生していることが確認された.2025寒候年における最大の吹雪質量フラックスは2025年2月11日に観測され,1.5m高度で0.0044,10m高度で0.0041(単位時間単位面積当たりの質量)であった.また,10m高度よりも1.5m高度において吹雪質量フラックスが大きい場合が多く見られた.これは,一度積雪した雪粒子が風によって再び巻き上げられる地吹雪が発生していることを示唆している.以上の観測結果から,2025寒候年における札幌の吹雪の実態を把握することができた.今後は,同露場で取得されている分光反射特性データとの関係についても検討を進める.さらに,次世代人材の育成の観点から,限定的に富山大学の学生に対してデータ解析手法を習得する機会を提供した.具体的には,csv形式に処理された観測データを用い,Pythonによる地吹雪の時系列変動データの解析を試みた.
図1 2024年12月5日から2025年4月3日までの北海道大学低温科学研究所露場での吹雪質量フラックス  
成果となる論文・学会発表等