共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

氷河がフィヨルド環境に果たす役割―グリーンランドとパタゴニアで何が違うのか―
新規・継続の別 継続(R06年度から)
研究代表者/所属 北大院水産
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 野村大樹

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

漢那直也 東京大学大気海洋研究所 助教

2

松野孝平  北海道大学北方生物圏フィールド科学センタ 准教授

3

干場康博 海洋開発研究機構 ポスドク

4

粕谷拓人 海洋開発研究機構 ポスドク

5

波多俊太郎 国立極地研究所 ポスドク

6

杉山慎 北大低温研 教授

研究目的 本申請課題では、パタゴニアで取得した現地データを共同で解析し、これまでに得られたグリーンランドでのデータや知見との比較を行う。特に氷河の特性、気候、地形、生態系等に着目し、低温科学研究所に蓄積された氷河と海洋に関するデータ・サンプルも活用して解析を実施する。その結果、パタゴニアにおける氷河フィヨルド環境を明らかにし、氷河・海洋相互作用を総合的に理解することが本研究課題の目的である。
  
研究内容・成果 2025年12月にチリ・パタゴニア・Pio XI氷河、EyreおよびFalconフィヨルドにて氷河および海洋観測を実施した。氷河観測では、熱水ドリルによる氷掘削を行い、氷河流動速度の計測を実施した。また、海洋観測では、フィヨルド内での鉛直的および表面水平採水を実施した。さらに、氷河近傍および氷河上での氷河融解水の直接採水を実施した。分析項目は、溶存無機炭素濃度、アルカリ度、栄養塩濃度、クロロフィルa濃度、酸素安定同位体比、微量金属成分、溶存有機物、植物プランクトン組成などである。

2026年1月30日に実施した低温科学研究所での集会では、今年度取得した観測データの共有および一時解析結果についての発表を行った。また、サンプル分析についてのスケジュール調整などを行った。さらに、これまでチリ・パタゴニアやグリーンランドで得られたデータとの比較の検討も行った。その結果、グリーンランド・ボードインフィヨルドで観測された氷河の融け水による湧昇流(プルーム)は、パタゴニア・アマリア氷河およびPio XI氷河では観察されなかった。現在この違いが何によるものか(氷河の形態、フィヨルドの地形など)について検討を進めている。最後に、来年度パタゴニアおよびグリーンランドで実施する観測項目の確認を行った。これまでと今後の観測によって、上記の比較解釈に新しい進展が見込めると共に、グリーンランドと比較して研究が遅れているパタゴニアにおける氷河とフィヨルドの関係性を世界に先駆けて明らかにすることが期待できる。そして、パタゴニアとグリーンランドで取得した現地データを共同で解析し、特に氷河の特性、気候、地形、生態系等に着目し、低温科学研究所に蓄積された氷河と海洋に関するデータ・サンプルも活用して解析を実施する。その結果、パタゴニアにおける氷河フィヨルド環境を明らかにし、氷河・海洋相互作用を総合的に理解する。
  
成果となる論文・学会発表等 Sugiyama, S., A. Yamaguchi, T. Watanabe, Y. Tojo, N. Hayashi, J.-B. Thiebot, M. Tomiyasu, K. Hasegawa, Y. Mitani, M. Otsuki, Y. Sakuragi, M. Ogawa, K. Tanaka, K. Sakurai, K. Matsuno, N. Kanna, E. Podolskiy, R. Kusaka, Y. Wang, T. Imazu, K. Watanabe, K. Sato, S. Ukai, S. Yamada, K. Kondo, S. Yamasaki, K. Tateyama, K. Sato, J. Inoue, T. Mori, T. Fukazawa, A. Rosing-Asvid, K. Langley, A.M.U. Gierisch, J. Sutherland, T. Oshima. 2025. Changes in the coastal environments and their impact on society in the Qaanaaq region, northwestern Greenland, Polar Science, 45, 101206, doi:10.1016/j.polar.2025.101206