共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

雪面上乱流熱フラックス計算手法の再検討
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 気象庁気象研究所
研究代表者/職名 主任研究官
研究代表者/氏名 庭野匡思

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

大河原望 気象庁気象研究所 室長

2

谷川朋範 気象庁気象研究所 主任研究官

3

的場澄人 北大低温研

研究目的 我々は、気象庁領域大気モデルLFMと積雪変質モデルSMAPの結合システムLFM-SMAPの開発を進めている。LFM-SMAPが再現性を最も重視するモデル予測変数は積雪深である。一般に、積雪深の時空間変化を積雪変質モデルによって精度良く計算するためには、雪面熱収支をモデルにおいて正確に評価することが重要である。とりわけ3月以降の融雪期においては、融雪に対する乱流熱フラックス(顕熱と潜熱)の寄与が大きくなると考えられているため、モデルにおいて乱流熱フラックスを正確に計算することが肝要である。本共同研究では、低温科学研究所露場において乱流熱フラックスの観測をおこなうことなどを通してモデルの現状と更なる高度化の可能性を探る。
  
研究内容・成果 当初計画通り、低温科学研究所露場の自動気象観測装置に3成分超音波風速計システムを追加設置して、雪面における乱流熱フラックス(今回は予算の都合で顕熱のみを測定できるようにした)を渦相関法によって高精度で直接測定した。現在、冬期観測データの蓄積を進めると同時にデータの品質管理手法の構築を進めている。並行して、過去4冬期(2016〜2020冬期)の低温科学研究所露場において3成分超音波風速計システムを渦相関法と組み合わせて取得した顕熱と潜熱の直接測定結果を積雪変質モデルSMAPのシミュレーション結果と比較した。顕熱と潜熱について個別に評価したところ、平均誤差はそれぞれ1.6±1.7 W/m2と-4.1±1.1 W/m2と、モデルは顕熱を過大評価する傾向である一方で、潜熱を過小評価する傾向が見受けられた。これらのモデルの傾向は系統的に毎冬期に見られたので、モデルが持つ基本的な特性であると考えられる。一方でモデルの二乗平均平方根誤差は顕熱と潜熱についてそれぞれ10.4±1.1 W/m2と9.4±0.9 W/m2であったので、モデル計算精度は顕熱と潜熱でほぼ同等の状況にあることが確認された。今後、観測データをさらに蓄積していき、モデル計算精度の具体的な改善策を探る。更に、それらの改善が積雪深の計算精度向上に寄与するのかどうかを確かめる。
  
成果となる論文・学会発表等 庭野匡思:日本気象学会2025年度堀内賞を受賞。タイトル:「日本の季節積雪とグリーンランド氷床を対象とした大気―雪氷相互作用研究の推進」。https://www.metsoc.jp/default/wp-content/uploads/2025/08/2025horiuti_Niwano.pdf