共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

冬眠する哺乳類シリアンハムスターの季節性生理変化検出ツールの開発
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 重井医学研究所
研究代表者/職名 分子遺伝部門 部長
研究代表者/氏名 松山 誠

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

小林朋絵 重井医学研究所 主任研究助手

2

山口良文 北大低温研

3

延寿祥代 北大低温研

4

中野世那 北大低温研

5

Shao Chengru 北大低温研

研究目的 シリアンハムスターは、長日・温暖の春夏条件では体が夏モードとなり繁殖と成長を行うが、短日・寒冷の秋冬条件になると、繁殖を抑制した冬モードとなり、極端な低代謝・低体温状態となった冬眠を行う。しかし、ハムスターがなぜ冬眠できるのかは、いまだ明らかでない。本研究は冬眠する個体を冬眠しない個体を見分ける手法を開発するために、冬眠する哺乳類シリアンハムスターが季節に応じて体を夏モードと冬モードの間で変化させる際にその血中濃度が大きく変動すると予想されるタンパク質分子を検出する抗体を作製することを目的とする。
  
研究内容・成果 シリアンハムスターは、短日・寒冷条件下で冬眠する個体としない個体が出現するが、これらの両者を冬眠する前に見分ける手法は存在しない。冬眠を可能とする体の状態がいかなるものなのか明らかにしていくためには、まず冬眠しない夏モードと冬眠できる冬モードの体の違いを明らかにするとともに、冬眠する個体を冬眠しない個体を見分ける手法を開発する必要がある。そこで本研究では、夏モードと冬モードとの間でその発現量が極端に異なるタンパク質分子に対してモノクローナル抗体を作出し、夏モードと冬モードの個体を血液や唾液などの検体で簡便に検出する手法を開発することを試みた。
共同研究者である低温科学研究所の山口良文教授がすでに見出していた夏モードと冬モードの間で発現量が大幅に異なるタンパクとして、A1bg (alpha1-beta-glycoprotein)とProlactinの全長組換えタンパク質および抗原部位のペプチドを合成した。全長組換たんぱく質は、大腸菌を用いて、HisまたはMBPタグ付きのタンパクを発現し、適切なカラムを用いて精製して作製した。腸骨リンパ法を用いて、ラットやマウスに準備した抗原を免疫した。免疫後17-21日が経過したら、腸骨リンパ節を単離し、リンパ節からBリンパ球を採取した。採取したBリンパ球とSp2/0ミエローマ細胞を電気刺激により細胞融合を行った。細胞融合後HAT培地によりセレクションを行い、その結果得られたハイブリドーマは、ELISA法によりA1bgやProlactinの抗体を産生しているかを検討した。A1bgは96個、Prolactinは108個のELISA陽性を得ることができた。ELISA陽性であったものについては、北海道大学の山口研究室にて、Western blotting, 免疫染色などを行い、本研究に利用可能かを検討した。Prolactinは、Western blottingを行ったところ、目的のサイズ付近にシグナルを示す抗体を複数得ることができた。また、免疫染色においても下垂体において特徴的なシグナルを示すものを見出すことができた。現在、目的の抗体を産生するものから、限界希釈法を用いて、ハイブリドーマ細胞のクローニングを行い、抗体のモノクロ化を進めているところである。
 今後は、クローニングを行ったハイブリドーマにおいて、再度ELISAを行い、ELISA陽性だったものについて、Western blotting, 免疫染色を行って、本研究目的に使用可能なモノクローナル抗体を選抜していく予定である。将来的には、作製したモノクローナル抗体を用いて、サンドイッチELISAなどの系を構築し、血液や唾液などの経時的サンプリングにより、ハムスターの体の変化をモニタリングしていきたい。それが可能となれば、冬眠を可能とする体の状態の理解が進むと期待される。
  
成果となる論文・学会発表等