共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

哺乳類冬眠が神経幹細胞老化に及ぼす影響の解析
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 名古屋市立大学大学院医学研究科
研究代表者/職名 特任助教
研究代表者/氏名 松本真実

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

澤本和延 名古屋市立大学大学院医学研究科 教授

2

藤山瞳 名古屋市立大学大学院医学研究科 大学院生

3

山内彩加林 北大低温研

4

山口良文 北大低温研

5

延寿祥代 北大低温研

6

Shao Chengru 北大低温研

研究目的 哺乳類の脳には、限られた領域において神経幹細胞が存在しており、新たな神経細胞を産生するニューロン新生を行っている。新生ニューロンは目的の領域まで移動後、成熟し、既存の神経回路に組み込まれることで、脳機能の維持に関与していることが知られている。しかし、神経幹細胞数には限りがあり、加齢とともに減少してしまう。神経幹細胞の維持には代謝状態の制御が重要であることが知られているため、代謝状態が変化する冬眠を経た個体では、神経幹細胞が変化しているかもしれない。そこで、本研究では、加齢によって変化する神経幹細胞およびニューロン新生が、冬眠により、どのように変化するのかを調べることを目的とする。
  
研究内容・成果 本研究では、哺乳類の冬眠の際に脳の神経幹細胞の老化は進行するのかを明らかにすることを目的とした。哺乳類の冬眠は、食料の限られる厳しい季節を、体温保持に要する代謝熱産生のエネルギーを大幅に抑制することでエネルギーを節約し、結果として低体温となる「深冬眠」状態で乗り切る生存戦略である。冬眠を行うシリアンハムスターは、寒冷・短日の実験室環境に置かれてから数ヶ月すると深冬眠を行うようになる。深冬眠は数日間持続したのち、自発的に覚醒する中途覚醒により中断される。中途覚醒は半日から1日弱続いたのち、再び深冬眠が生じる。この深冬眠-中途覚醒の繰り返しが数ヶ月に渡り繰り返される期間を「冬眠期」と呼ぶ。冬眠期は数ヶ月続いたのち、実験室環境が変わらず寒冷・短日のままでも自発的に終了し、後冬眠と呼ばれる状態に入る。ここで興味深い疑問として、数ヶ月の冬眠期を経た個体は、温暖・長日あるいは低温・短日でも冬眠しなかった同月齢の個体に比べて、加齢が進行するのか?という疑問が生じる。そこで本研究では、後冬眠・不冬眠(ともに寒冷短日飼育)・非冬眠(温暖長日飼育)を長期飼育により作出し、同月齢(12ヶ月齢)時点で解剖し、脳のニューロン新生領域における冬眠への影響を調べた。解剖の際には申請者らが低温研に赴き実験を行った。冬眠・非冬眠におけるニューロン新生領域の神経幹細胞、神経前駆細胞および新生ニューロン数を解析し、冬眠におけるニューロン新生への変化を明らかにした。現在、さらにニューロン新生領域における微細形態解析を行うための準備を行っている。
  
成果となる論文・学会発表等 Sawamoto K, 冬眠動物および非冬眠動物における冬眠中・覚醒後のニューロン新生, 2025年度冬眠生物学2.0 領域班会議, 2025.
Matsumoto M, Hattori M, Fujiyama H, Saito YC, Chengru S, Ota H, KurematsuC, Yamauchi A, Hirano A, Sakurai T, Yamaguchi Y, Sawamoto K, Effects of artificial hibernation on adult neurogenesis, 2025年度冬眠生物学2.0 領域班会議, 2025.