共同研究報告書
| 研究区分 | 一般研究 |
|
研究課題 |
氷雪地帯設置に向けた周方向多孔式風速風向計の形状検討 |
| 新規・継続の別 | 継続(R05年度から) |
| 研究代表者/所属 | 東京都立産業技術高等専門学校 |
| 研究代表者/職名 | 准教授 |
| 研究代表者/氏名 | 真志取秀人 |
| 研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
|
氏 名
|
所 属
|
職 名
|
|
|
1 |
若林良二 | 東京都立産業技術高等専門学校 | 教授 |
|
2 |
高崎和之 | 東京都立産業技術高等専門学校 | 准教授 |
|
3 |
吉田嵩 | 東京都立産業技術高等専門学校 | 准教授 |
|
4 |
的場澄人 | 北大低温研 | |
|
5 |
高塚徹 | 北大低温研 | |
| 研究目的 | 本研究の目的は,氷雪環境下での安定的な風況観測を可能にする,廉価かつ小型な非可動式測定装置の開発である.従来の装置が抱える凍結等の課題を解決すべく,多点式ピトー管を環状に配列し,圧力分布と静圧から風速風向を推定する「多方向全圧孔式風速風向計」を新たに提案した.装置の形状最適化と耐候性向上を追求することで,人的メンテナンスが困難な地帯における観測網の構築を目指す.本年度は,計測精度の向上を主眼に置き,測定孔形状の改良および検討を詳細に実施した.本研究の成果は,極地や高地における気象データの蓄積を促進し,自然科学の進展に寄与する. |
| 研究内容・成果 | 氷雪地帯における風況観測において,超音波風速計は高価であり,プロペラ式等の可動部を有する装置は強風や着氷雪による損傷・故障のリスクを伴う.本研究ではこれらの課題を解決すべく,多点式ピトー管を環状に配列し,各測定点における圧力分布と静圧の相関から風速および風向を推定する「多方向全圧孔式風速風向計」を提案し,その構造検討と実証試験を行っている.本装置は1箇所の静圧孔と4箇所の圧力測定孔,計5系統の圧力センサ,および計測制御用のシングルボードコンピュータ(SBC)を統合したシステムであり,過酷環境下での自律的かつ連続的な自動観測を低コストで実現することを目指している. 共同研究の初年度にあたる令和5年度は,装置試作機の製作と基本動作の確認を実施した.計測部は,図1上部に示されるような,直径70mm,高さ25mmの円柱形状を採用し,内部に十字状に配した圧力計により四方の圧力を検知する構造とした.中心部に配置したセンサは円柱底面の静圧測定孔に接続され,外周部の圧力計で得られる全圧相当の値と,この静圧値との差圧から流速を見積もる.各センサは外壁により保護されているが,外周部センサは2mm角の矩形孔を通じて外部と接続されており,円柱周囲の圧力分布を計測する仕様とした.しかし,図1下部に示されているように数値解析による圧力分布予測の結果,よどみ点付近で高圧となる範囲は極めて限定的であることが判明した.従来の2mm角の測定孔では,流軸が孔位置からわずかに逸脱するだけで高圧部を正確に捉えられず,風向判定の分解能や精度が著しく低下する懸念が生じた. そこで今年度は,圧力測定範囲の拡大を目的として,入口幅を14mmにまで拡張した改良型圧力測定孔(図2上)を導入した.この形状変更により,よどみ点付近の高圧領域をより確実に捕捉することが期待される.一方で,開口部の拡大は風雪の内部侵入を招き,耐候性を損なうリスクがある.この検証のため,2025年12月26日から翌27日にかけ,北海道大学低温科学研究所の屋上にて実地耐候試験を実施した.試験期間中は降雪を伴う気象条件であったが,取得されたゲージ圧データを確認したところ,一晩を通じて欠測や異常値のない安定的な計測が可能であることを実証した(図2下). 一方で,得られた実測データに基づく風速風向の推定アルゴリズムには改善の余地が確認された.耐候試験に先立ち実施した東京都立産業技術高等専門学校内での風洞実験データ(図3上)に基づき,今回の実地試験における推定風速値と気象庁公表の同時刻データとの比較検証を行ったが,全体的な相関は限定的であった(図3下).しかし詳細な分析の結果,推定風速が8m/sを超える強風領域においては,気象庁のデータとの相関が現れ始める傾向を確認した.本装置の測定原理上,流速の増加に伴い円柱周囲の圧力分布が明確化するため,強風時ほど検出精度が向上する特性を裏付ける結果となった. |
| 成果となる論文・学会発表等 | (現在検証中のデータをまとめ次第発表予定) |