共同研究報告書
| 研究区分 | 一般研究 |
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研究課題 |
油脂ウィスカー結晶によるオレオゲルの創成 |
| 新規・継続の別 | 新規 |
| 研究代表者/所属 | 広大院統合 |
| 研究代表者/職名 | 准教授 |
| 研究代表者/氏名 | 小泉晴比古 |
| 研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
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氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
中野 郁也 | 広大院統合 | 修士1年 |
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2 |
山崎 智也 | 北大低温研 | 准教授 |
| 研究目的 | 持続可能な食糧供給の観点から植物ベースの代替肉の開発が重要となっている。特に、ステーキといった食品における「ジューシーさ」の改善が重要な課題となっており、「油のゼリー」であるオレオゲルの開発が世界で精力的に行われている。近年我々は、油脂の一種であるPSPを微量添加するだけで、極めて細い繊維状の晶出物が析出すること、また、TEM観察を行うことで、この繊維状の晶出物が油脂から成るウィスカー結晶であることを明らかにし、油脂ウィスカーの形成が安定なオレオゲル作製に重要であることを見出した。そこで本研究では、油脂ウィスカーの形成が、オレオゲルの物理的特性に与える影響の詳細を解明することを目的とした。 |
| 研究内容・成果 | 本研究では、3級アルコールであるグリセリンに炭素数16のパルミチン酸が2つ、炭素数18のステアリン酸が1つ結合した高純度PSP(FHHPMFの主要成分)を用いて、オレオゲルの物性を制御するための鍵となる、油脂ウィスカー結晶の成長メカニズムの解明を行った。特に、オレオゲルの作製を行う際、完全に溶けた状態の試料を5℃まで冷却し、その後、試料の温度を昇温させ一定温度で保持をする、テンパリングという温調操作に着目して研究を行った。 まず、様々なテンパリング温度で作製されたオレオゲルの貯蔵弾性率(ゲルの硬さの指標)を測定したところ、テンパリング温度を30℃以上に高くすることで貯蔵弾性率が大きく増加することが明らかとなった。そこで、暗視野顕微鏡を用いて晶出した結晶の形態を観察すると、テンパリング温度が20℃以下では油脂ウィスカーの形成が確認されず、30℃のテンパリング温度から油脂ウィスカーの形成が確認され、40℃のテンパリング温度では油脂ウィスカーの長さがより長くなっていることが観察された(図1参照)。つまり、テンパリング温度の上昇によって油脂ウィスカー結晶の長さが増し、オレオゲル内部のネットワーク構造がより発達したため、テンパリング温度を30℃以上に高くすることでオレオゲルの貯蔵弾性率が大きく増加したと考えられる。また、放射光X線回折測定により、結晶の完全性を評価すると、テンパリング温度を30℃以上に高くし、油脂ウィスカー結晶の形成が起こると結晶内に蓄積されたひずみが大幅に減少し、結晶子サイズが約240 nmに達することも確認された。さらに、40℃でテンパリングしたオレオゲル中の油脂ウィスカー結晶のTEM観察を行うと、長周期構造を持つ材料に特有の電子線回折パターンが観測され、結晶の完全性の著しい向上が確認された(図2参照)。加えて、高純度PSPから作製された油脂ウィスカー結晶の形態が直線状であるのに対し、不純物を37.2%含むFHHPMFから作製された結晶の形態は蛇行した(波打った)形状を示し、かつ、ゲルの壊れやすさの指標であるゾル-ゲル転移が起こる臨界ひずみが高くなることが確認された。このことは、形状の違いがオレオゲルの機械的性質に大きな影響を与えることを示しており、不純物が結晶に取り込まれることで形状が制御され、より複雑なネットワーク構造が発達したためと考えられる。 |
| 成果となる論文・学会発表等 |
[1] H. Koizumi, F. Nakano, N. Oishi, T. Yamazaki, Y. Kimura, K. Hamamoto, S. Ueno, Control of physical properties of lipid whisker oleogels by crystal morphology regulation, Food Research International 224, 117999-1-7 (2026). [2] H. Koizumi, F. Nakano, N. Oishi, T. Yamazaki, Y. Kimura, S. Tsuda, S. Ueno, Creation of Lipid Whisker Crystals for Stable Oleogel Preparation, 20th Euro Fed Lipid Congress and Expo, 口頭発表, 2025年10月14日 (ライプツィヒ・ドイツ) [3] H. Koizumi, F. Nakano, N. Oishi, T. Yamazaki, Y. Kimura, S. Tsuda, S. Ueno, Creation of Oleogels by utilizing Lipid Whisker Crystals, 2025 AOCS Annual Meeting & Expo, 口頭発表, 2025年4月29日 (オレゴン州・アメリカ) |