共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

中央アジア山岳氷河アイスコアの化学解析による水物質循環の変遷
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 名古屋大学環境学研究科
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 藤田耕史

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

坂井亜規子 名大環境 准教授

2

植村立 名大環境 准教授

3

近藤研 名大環境 研究員

4

江刺和音 名大環境 博士課程4年

5

鬼頭茉由 名大環境 修士課程2年

6

竹内望 千葉大理学 教授

7

小林綺乃 千葉大融合理工学府 博士課程2年

8

薄羽珠ノ介 千葉大融合理工学府 博士課程2年

9

小野誠仁 京大生態研 研究員

10

Achille Jourberton オーストリア工科大 (ISTA) 博士課程3年

11

Francesca Pellicciotti オーストリア工科大 (ISTA) 教授

12

Marin Kneib ETH Zürich 研究員

13

Evan S. Miles スイス連邦WSL 研究員

14

的場澄人 北大低温研

15

飯塚芳徳 北大低温研

16

箕輪昌紘 北大低温研

17

松本真依 北大低温研

研究目的 中央アジア乾燥域では、深刻な水資源劣化の環境問題が顕在化している。一方で、水源に当たるパミール山脈では氷河の縮小が比較的緩やかに進行しており、これらの要因を定量的に評価することが期待されている。現在、スイスの研究所を中心に勧められているパミールにおける山岳域水資源の評価に関するプロジェクトに、名古屋大学と低温科学研究所が参画し、タジキスタンのパミールにてアイスコアを掘削する計画の準備が進められている。本研究では、掘削の準備を進めるとともに、掘削の機会を利用した氷河や大気の観測計画立案、掘削したアイスコアの分析、解析を通じてどのような過去の環境変動を明らかにできるかについての検討を進める。
  
研究内容・成果 本調査は、スイス極地研究所(Swiss Polar Institute: SPI)のフラッグシッププロジェクト「PAMIR」の一環として実施されたものである。2025年9月から10月にかけて、タジキスタン東パミール地域のKon Chukurbashi氷帽において、アイスコア掘削調査を実施した。日本からは、名古屋大学の藤田耕史および近藤研、北海道大学低温科学研究所(以下、低温研)から飯塚芳徳、的場澄人、近藤ひかる、柳沼蒼良の計6名が参加した。本共同研究では、現地調査に先立ち、観測計画の立案、機材準備、許認可取得支援等の事前準備活動を行い、円滑な掘削実施に向けた体制を整えた。
掘削作業においては、許可取得手続きの遅延が生じたものの、最終的に当初計画していた岩盤到達深度105 mのアイスコア2本および深度20 mのアイスコア1本の掘削に成功した。さらに、本共同研究に参画している千葉大学雪氷生物グループの要望に基づき、氷河消耗域の異なる3高度地点において、各地点2本ずつ、計6本の深度1 mの浅層コアを追加掘削した。取得したすべてのアイスコアは、品質保持のため冷凍状態を維持したまま北海道大学低温科学研究所へ輸送された。このうち1本は、世界各地で消失の危機にある氷河からアイスコアを収集し、将来世代のために南極内陸に長期保存する国際的取り組みである「Ice Memory Project」へ寄贈する目的で、2026年1月にイタリアへ輸出された。
残る1本の深層アイスコアについては、低温研が中心となって分析・解析を実施する予定であり、研究所搬入後、速やかに初期分析を開始している。本コアから得られるデータは、東パミール地域における過去の気候変動復元および環境変遷解明に重要な知見をもたらすことが期待される。
  
成果となる論文・学会発表等 本研究の直接の成果ではないものの、同じ共同研究体制で前年度まで実施していたヒマラヤのアイスコアに関する成果を示す。(謝辞に低温研共同研究への言及あり)

Esashi N, Tsushima A, Matoba S, Iizuka Y, Uemura R, Kayastha RB, Fujita K (2025) Multidecadal variability in atmospheric dust preserved in an ice core from the southern slopes of the Himalayas. Journal of Geophysical Research: Atmospheres, 130(12), e2025JD043492, doi:10.1029/2025JD043492, 2025

Tsushima A, Esashi N, Matoba S, Iizuka Y, Uemura R, Adachi K, Kinase T, Hirabayashi M, Kawakami K, Kayastha RB, Fujita K (2025) Contrasting responses of ion concentration variations to atmospheric patterns in central Himalayan ice cores. Journal of Geophysical Research: Atmospheres, 130(2), e2024JD042392, doi:10.1029/2024JD042392, 2025
共同プレスリリース:https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2025/01/145.html