共同研究報告書


研究区分 研究集会

研究課題

 氷・水・クラスレートの物理化学に関する研究集会
新規・継続の別 継続（R01年度から）
研究代表者／所属 北大工学研究院
研究代表者／職名 准教授
研究代表者／氏名 内田努

研究分担者／氏名／所属／職名
　
氏　　名
所　　属
職　　名

1

 飯高敏晃 理化学研究所 先任研究員

2

 竹中規訓 大阪公立大 教授

3

 原田慈久 東大物性研 教授

4

 堀彰 北見工大 准教授

5

 竹谷敏 産業技術総合研究所 主任研究員

6

 松本正和 岡山大理 准教授

7

 灘浩樹 鳥取大工 教授

8

 秋山良 九州大理学府 教授

9

 佐々木重雄 岐阜大工 教授

10

 小松一生 東大理 准教授

11

 島田亙 富山大 理工 准教授

12

 八久保晶弘 北見工大 教授

13

 菅原武 大阪大基礎工 助教

14

 山口祥一 埼玉大理工 教授

15

 佐々木海渡 東海大理 助教

16

 半田友衣子 埼玉大理工 助教

17

 佐崎元 北大低温研

18

 長嶋剣 北大低温研

19

 村田憲一郎 北大低温研

研究集会開催期間 令和 6 年 12 月 2 日 〜 令和 6 年 12 月 3 日
研究目的 水（H2O）は地球上に最も多く存在し、様々な物質に含まれている基本的な成分であるため、その物理化学的性質は様々な現象の基礎となっている。それにもかかわらず、H2Oを単独に扱う学会や研究集会などがほとんどないのが現状である。従ってH2O分子に関わる研究を行っている研究者は、それぞれ異なった分野に散在しており、所属学会も異なるため研究者間で情報交流できる機会は非常に少ない。そこで本研究集会では、氷、水、クラスレート水和物及びその基礎となるH2Oの物性を明らかにするため、所属学会や基盤学問分野を越えて情報交流を行い、研究者間のネットワークを構築するとともに、その根底をなすサイエンスを議論することを目的とする。
　　
研究内容・成果 　研究集会「H2Oを科学する・2024」は、平成22〜24年度に実施した低温科学研究所共同研究・萌芽研究「氷の物理と化学研究の新展開」の中で設立された「氷科学研究会」が中心となり、異分野でH2Oという分子に関わった研究を進めている研究者の情報交流の場として企画され、令和6年12月2〜3日にハイブリッドで低温科学研究所大講堂とZoomで開催された。国内外の産官学研究機関より水、氷、クラスレートなどH2Oの科学に関する28件の口頭発表が行われ（うち2件はリモート発表、9件はポスター発表）、活発な議論がなされた。発表者は大学院生から企業や国立研究機関の研究者、名誉教授まで幅広く、発表内容も以下に示す通り実験から計算まで様々なアプローチによる最先端の内容が多く、参加した研究者間での新たな研究協力関係も形成された。対面中心のハイブリッド開催であったが、参加者も大学院生から大学・国立研究機関の研究者や企業の研究者に至るまで幅広く、リモート参加を含めのべ50名弱となった。
　氷結晶成長セッションでは、凍結過程を利用したSERS測定やスピンコントラスト変調を用いた中性子昇格散乱測定等の測定法の開発から干渉法による氷結晶成長のその場観測、凍上モデルの提案、シミュレーションによる氷結晶成長の解析などの発表があった。シミュレーションセッションでは、同位体効果を考慮した水分子モデルの開発や水溶液中の水分子の解析研究が発表された。低温生物のセッションでは、細胞の凍結保存に利用できる両性電解質高分子の設計研究とそれを用いた実験的研究、および高圧ガラス化法を用いた細胞凍結研究の発表があった。ハイドレートのセッションでは、ゲスト分子の同位体分別に関する研究発表と、セミクラスレートハイドレートの新規構造の発見に関する発表、およびセミクラスレートハイドレートの電気伝導度の研究が発表された。ポスター発表は、主に学生の発表を中心に9演題が発表された。内容は、細胞の凍結保存に関する研究、氷の誘電測定に関する研究2題、高圧下における氷や水溶液の物性に関する研究3題、中性子昇格散乱法を用いた氷結晶の研究などが発表された。微細気泡のセッションでは、溶存気体と微細気泡の違いを明らかにする研究2題、水中酸化反応に対するUFBの影響に関する研究、および中性子を用いた放射線計測によるUFB物性の計測研究が発表された。高圧氷のセッションでは、高密度アモルファス氷の誘電分光に関する研究と、シミュレーションによる高圧下での相変化の可能性と新規結晶の推測研究が発表された。
　　
研究集会参加人数 50 人