共同研究報告書


研究区分 研究集会

研究課題

東南極トッテン氷河沖の鉄観測に向けたワークショップ
新規・継続の別 継続(R05年度から)
研究代表者/所属 東京大学大気海洋研究所
研究代表者/職名 助教
研究代表者/氏名 漢那直也

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

平譯享 極地研 教授

2

田村岳史 極地研 准教授

3

真壁竜介 極地研 助教

4

平野大輔 極地研 助教

5

伊藤優人 極地研 特任研究員

6

杉江恒二 JAMSTEC 研究員

7

栗栖美菜子 JAMSTEC 研究員

8

塩崎拓平 東大大海研 准教授

9

野村大樹 北大北方フィールドセ 准教授

10

近藤能子 長崎大学 准教授

11

西岡純 北大低温研 教授

研究集会開催期間 令和 6 年 7 月 11 日 〜 令和 6 年 7 月 12 日
研究目的  南大洋において、基礎生産者である植物プランクトンは、微量栄養物質である鉄の不足により増殖が制限されている。南大洋の生物生産過程を理解するためには、鉄の濃度と分布を調べるための海洋観測が不可欠である。東南極のトッテン氷河沖で生じる鉄供給プロセスを現場観測から明らかにし、トッテン氷河沖の生物生産過程を定量的に評価する研究が必要である。そこで、令和6年度にトッテン氷河沖の鉄観測が日本南極地域観測隊(JARE)のもと実施される。観測に先立って研究集会を開催し、観測内容や研究の方向性を精査する。
  
研究内容・成果 本研究集会は、7月11日—12日の2日間にわたりハイブリッド形式で実施した。10名が対面、3名がオンラインで参加した。議題はおもに令和6年度JAREの活動に関するもので、1日目はサイエンス、2日目は観測のロジスティクスについて議論を行った。
1日目は、おもに南大洋の鉄研究に関する議論を行った。南極棚氷沖で実施されている鉄研究の現状についてレビューを行い、未解明な課題(海水および海氷中の鉄の化学形態、植物プランクトンへの鉄の取り込みプロセスなど)を抽出した。そのうえで令和6年度のJARE本航海において、東南極トッテン氷河沖の鉄の研究課題にどのように取り組んでいくべきかを参加者間で議論した。また南大洋における大型研究プロジェクトの動向について説明があり、JAREで実施する鉄研究の位置づけを明確にした。トッテン氷河沖の鉄観測は、JAREの重点研究観測や複数の科研費プロジェクトのもと、令和6-7年度の2年間にわたり実施される計画である。北大や東大、長崎大、佐賀大、海洋研究開発機構、極地研と共同で鉄の観測を行うため、本研究集会において各機関との研究連携の在り方を模索した。
2日目は、令和6年度のJARE本航海で実施する観測内容と研究者間の役割分担、観測のロジスティクスに関する議論を行った。本航海に先立ち、令和6年10月に訓練航海が実施された。集会の前半は、訓練航海で行う観測手順の確認や、観測機器およびクリーンコンテナラボの準備状況に関する情報交換を行った。本研究集会での建設的な議論により、集会後に実施された訓練航海において大きなトラブルなく観測ができることを確認した。集会の後半では、本航海で実施するトッテン氷河沖鉄観測の採水点を13点に絞り、分析すべきキーパラメーターの選定を行い、分析担当者を決定した。キーパラメーターには、鉄の形態別の情報(溶存鉄、粒子態鉄、鉄同位体など)のほか、溶存有機物や水の酸素安定同位体比、植物プランクトンの光合成活性など、トッテン氷河沖の鉄の動態を理解する上で不可欠なパラメーターも加えられた。令和7年2月から3月にかけて、JARE本航海が控えている。本航海における観測結果を踏まえ、次年度も本研究集会を開催し、今後も鉄観測の詳細検討および技術的な改良を行っていく必要がある。
  
研究集会参加人数 13 人