共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
低温環境におけるメタン酸化細菌の新たな培養法の開発 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 静岡県立大学食品栄養科学部 |
研究代表者/職名 | 助教 |
研究代表者/氏名 | 梅澤和寛 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
谷幸則 | 静岡県立大学食品栄養科学部 | 教授 |
2 |
福井学 | 北大低温研 | 特任教授 |
3 |
森章一 | 北大低温研 | 技術専門職員 |
研究目的 | 地球温暖化により永久凍土や氷河の融解が進むことで、膨大な量の有機炭素がメタンや二酸化炭素として放出されることが懸念されている。メタンや二酸化炭素は温室効果を有しているため、さらなる温暖化を引き起こすことが予想されている。メタンの生成と消費には微生物による代謝が重要な役割を担っている。しかしながら、永久凍土や氷河の融解にともなうメタン動態の知見はいまだ限られている。永久凍土や氷河に関連する試料を用いて、培養に基づくアプローチを行い、メタン動態に関わるメタン酸化細菌を明らかにすることを目的とした。 |
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研究内容・成果 | 2023年8月アラスカのCastner氷河で採取した氷河融解水を接種源として、酸化鉄を加えた微好気メタン酸化条件で集積培養を行った。同時期、アラスカデナリハイウェイ沿いに位置する多年凍結丘であるパルサ周囲に存在する湿原から泥炭を含む水試料を採取した。本試料を接種源として同様の条件で集積培養を行った。培養は15度で行い、生育を確認後に同条件で2回継代培養を行ってから、DNAを抽出した。Nanopore社の16S Barcoding kit(SQK-16S114.24)を用いて、抽出DNAから16S rRNA遺伝子を増幅して、Flongleでシーケンス解析を行った。得られたリードをNanoclustによりグループ化して、解析をおこなった。その結果、Methylobacter sp.などのタイプI型のメタン酸化細菌が集積することが明らかとなった。また、16S rRNA遺伝子のV4領域を標的としたアンプリコンシーケンス解析の結果、パルサの活動層と凍結層の上層ではMethylobacter sp.が多く検出することが明らかとなったため、Methylobacter sp.が凍土の融解時のメタン消費に関与していることが示唆された。 また、スポンジを支持体としたバイオリアクター(down-flow hanging sponge bioreactor)について、市販の硬質ポリ塩化ビニル管とその継ぎ手を用いて装置の作成を行った。水と空気を用いて、水の漏出がなく装置っを連続的に運用できることを確認したので、今後は本装置を用いて培養実験を行っていきたい。 |
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成果となる論文・学会発表等 |