共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
グリーンランド氷床からの超広視野サブミリ波宇宙探査観測の実現 |
新規・継続の別 | 継続(R02年度から) |
研究代表者/所属 | 国立天文台先端技術センター |
研究代表者/職名 | 助教 |
研究代表者/氏名 | 大島泰 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
竹腰達哉 | 北見工業大学 | 助教 |
2 |
宇野慎介 | 理化学研究所 | 基礎科学特別研究員 |
3 |
中坪俊一 | 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 | 主幹研究開発員 |
4 |
木村勇気 | 北大低温研 | |
5 |
藤田和之 | 北大低温研 | |
6 |
森章一 | 北大低温研 |
研究目的 | ミリ波サブミリ波帯の広視野撮像観測は、運動学的スニヤエフ・ゼルドビッチ効果を用いた銀河団の運動状態の推定に重要であり、宇宙最大の天体である銀河団の動的な進化過程の解明を可能にする。我々は、直径12mのサブミリ波望遠鏡、グリーンランド望遠鏡(GLT)に、多色サブミリ波カメラ(GLTCAM)を設置し、銀河団サーベイを行うことを目指している。そこで、130-720 GHzの大気の窓を3色以上で同時撮像観測が可能なカメラを開発し、多色サブミリ波サーベイを世界に先駆けて実現することを目的とする。 |
研究内容・成果 | 2024年度においては、グリーンランド望遠鏡への搭載に向けた超広視野光学系の再設計と、多色観測を実現するために必要なオンチップバンドパスフィルターの製作および評価を開始した。具体的には下記の成果を得た。 1. GLT搭載用のカメラ光学系の更新として、光線追跡法を用いた設計を実施した。2020年度に設計を行った光学系設計では、受信機室床面より斜めに入射する設計となっているため、非対称なクライオスタット設計や複雑な搭載治具が要求される。そのため、床面より垂直入射するシンプルかつ受信機室内での設置方法の自由度の高い設計解を検討した。その結果、視野と結像性能を維持しつつ、現実的に製作可能な設計解を見出した(図1)。今後はこの光学系案を基に、光学素子の製作方法を検討と実際の製作を進めるとともに、保持機構の詳細設計を実施する。 2. 理化学研究所のクリーンルームで製作した超伝導検出器とオンチップバンドパスフィルター(BPF)の評価試験を、国立天文台先端技術センターに設置されている極低温冷凍機および測定設備を用いて実施した。本測定のために必要な極低温ステージや配線系は、これまでの本一般共同研究によって低温研技術部により製作されたものを用いている。低周波スケールモデルでのBPFの試作および性能評価を行った結果、電磁界シミュレーションとほぼ一致する透過特性の測定結果を得ることができ、信頼度の高いBPFの設計・製作手法が確立され、搭載用検出器の製作に向けた重要なマイルストーンとなった。 現在、搭載に適した新たなクライオスタットの設計を進めており、今後光学系に必要な光学コンポーネントとともに、製作を進める計画である。またバンドバスフィルターを含む超伝導検出器アレイの製作および評価に必要な実験室評価を、その測定系とも構築を進めていく。 |
成果となる論文・学会発表等 | "GLTCAM: Concept of Multi-color Millimeter and Submillimeter Camera for the Greenland Telescope", Tatsuya Takekoshi, Kazuki Watanabe, Shuhei Inoue, Shinsuke Uno, Kazuyuki Fujita, Yuki Kimura, Shunichi Nakatsubo, Toshihiro Tsuzuki, Ryohei Kawabe, Kotaro Kohno, Tai Oshima and GLTCAM collaboration, 国立天文台・先端技術センター(ATC)ユーザーズミーティング,2024年9月24日 |