共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
氷河がフィヨルド環境に果たす役割 ―グリーンランドとパタゴニアで何が違うのか― |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 北大北方圏フィ |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 野村大樹 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
漢那直也 | 東京大学大気海洋研究所 | 助教 |
2 |
松野孝平 | 北海道大学水産科学研究院 | 助教 |
3 |
干場康博 | 海洋研究開発機構 | 特任研究員 |
4 |
杉山慎 | 北大低温研 | 教授 |
研究目的 | 本申請課題では、パタゴニアで取得した現地データを共同で解析し、これまでに得られたグリーンランドでのデータや知見との比較を行う。特に氷河の特性、気候、地形、生態系等に着目し、低温科学研究所に蓄積された氷河と海洋に関するデータ・サンプルも活用して解析を実施する。その結果、パタゴニアにおける氷河フィヨルド環境を明らかにし、氷河・海洋相互作用を総合的に理解することが本研究課題の目的である。 |
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研究内容・成果 | 2024年1月にチリ・パタゴニア・アマリア氷河にて実施した観測のデータを用い、解析を進めた。サンプルは鉛直的な採水、表面からポンプ採水で得られたものを使用した。分析項目は、溶存無機炭素濃度、アルカリ度、栄養塩濃度、クロロフィルa濃度、酸素安定同位体比、微量金属成分、溶存有機物である。分析が終了した成分について2025年1月に実施した会合において、まとめたデータの確認と図示による得られた結果の妥当性の検討を行った。また、これまでグリーンランドで得られたデータとの比較も実施した。その結果、グリーンランド・ボードインフィヨルドで観測された氷河の融け水による湧昇流(プルーム)は、パタゴニア・アマリア氷河では観察されなかった。現在この違いが何によるものか(氷河の形態、フィヨルドの地形など)について検討を進めている。さらに、生態系モデルによるフィヨルド内の物質循環過程について議論をした。最後に、来年度パタゴニアおよびグリーンランドで実施する観測項目の確認を行った。具体的には、氷河前のフィヨルドで、温度・塩分・濁度等の物理的特性を測定し、地球化学・生態学的解析に必要なサンプリング、海底地形の測量を行う。この観測によって、上記の比較解釈に新しい進展が見込めると共に、グリーンランドと比較して研究が遅れているパタゴニアにおける氷河とフィヨルドの関係性を世界に先駆けて明らかにすることが期待できる。そして、パタゴニアとグリーンランドで取得した現地データを共同で解析し、特に氷河の特性、気候、地形、生態系等に着目し、低温科学研究所に蓄積された氷河と海洋に関するデータ・サンプルも活用して解析を実施する。その結果、パタゴニアにおける氷河フィヨルド環境を明らかにし、氷河・海洋相互作用を総合的に理解する。 |
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成果となる論文・学会発表等 | Hoshiba, Y., Matsumura, Y., Kanna, N. et al. Impacts of glacial discharge on the primary production in a Greenlandic fjord. Sci Rep 14, 15530 (2024). https://doi.org/10.1038/s41598-024-64529-z |