共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

低温環境に適応した進化型メタン生成菌の未知機能と地下圏における炭素循環機構の解明
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 産業技術総合研究所
研究代表者/職名 主任研究員
研究代表者/氏名 眞弓大介

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

朝比奈健太 産業技術総合研究所 研究員

2

風呂田郷史 産業技術総合研究所 研究員

3

渡邉友浩 北大低温研

研究目的 メタン生成菌は,水素+二酸化炭素などの単純な物質からしかメタンを作り出せないと考 えられてきた。近年,地下の石炭や石油を単独で利用するメタン生成菌が地下生命圏から発見された。この常識を覆すメタン生成菌(以下,進化型メタン生成菌)は,低温環境に最も適応したメタン生成菌の系統群からしか見つからない。このことから,メタン生成菌が地球の温度低下に適応進化する過程で多種多様なメタン生成機構が誕生したと考えられる。本提案課題では,地下生命圏で主役を担う未知なるメタン生成菌の実体を明らかにし,地下圏における生物起源メタンの成因の包括的理解に迫ることを目的とする。
  
研究内容・成果 本提案課題では研究項目として,1)地下環境における進化型メタン生成菌の網羅的探索、2)地下微生物に特化した培養技術による進化型メタン生成菌の獲得,3)進化型メタン生成菌のメタン生成機構の解明を遂行する。 2024年度では、1)については、天然ガスが賦存する国内外の様々な地下環境、特に北海道空知地方に点在する炭鉱由来の地層水を採取し,分子生態学・同位体地球化学・生物地球化学的手法を駆使して進化型メタン生成菌の存在を調査した。2)については、採取した地層水の中から進化型メタン生成菌の存在が見出された地層水を用いて,提案者らが独自に開発した地下環境条件を模擬する高圧培養システムを用いて, 進化型メタン生成菌の集積培養を行った。3) については,提案者がすでに獲得している進化型メタン生成菌の「アルカン資化性メタン生成菌」の代謝機構に焦点をあて,その特殊なアルカン代謝の鍵となるアルカン活性化酵素(Acr)と,アルカン分解で得られるエネルギーをメタン生成に転換する酵素(Hdr複合体)を対象とした生化学実験を行うための、当該メタン生成菌の大量培養を実施した。
  
成果となる論文・学会発表等