共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

南極ドームふじ第3期氷床深層掘削にかかる技術開発
新規・継続の別 継続(R05年度から)
研究代表者/所属 国立極地研究所
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 川村賢二

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

中澤文男 国立極地研究所 助教

2

津滝俊 国立極地研究所 助教

3

菊池雅行 国立極地研究所 助教

4

本山秀明 国立極地研究所 名誉教授

5

古崎睦 旭川工業高等専門学校 教授

6

宮原盛厚 (株)アノウィ 代表取締役

7

小林明雄 九州オリンピア工業(株) 第2技術課課長

8

吉瀬也寸志 九州オリンピア工業(株) 第3製造部次長

9

大谷昌央 九州オリンピア工業(株) 第3技術課課長

10

加藤一登 九州オリンピア工業(株) 第3技術課

11

小原徳昭 ロボティスタ 代表

12

的場澄人 北大低温研

13

飯塚芳徳 北大低温研

14

森章一 北大低温研

15

佐藤陽亮 北大低温研

研究目的  第3期南極ドームふじ氷床深層掘削に関して、ドリルの電装部や通信系の開発・試験、岩盤の採取、掘削孔の検層観測といった、様々な技術開発と問題解決を目的とする。電装系、通信系については、温度や方位、姿勢等の計測項目を3500mのウインチケーブルを通じて地上でモニタするため、大電流とノイズの中での通信のほか、作業性と信頼性の高いフレームの開発などが必要となる。検層機への方位センサーや掘削孔カメラ等の組込、底面付近における砂礫混じりの氷掘削、岩盤掘削などに係る開発も目的としている。今年度はドームふじにおける氷床掘削の実運用で浮上する課題や改良点を把握し、今後の開発改良に繋げることも目的とする。
  
研究内容・成果  第3期ドームふじ氷床深層ドリル用の電装系開発を中心として、開発従事者によるオンライン会議を頻繁に開催し電装系開発の状況確認と方針決定を行いつつ、各機関(北大低温研、極地研、ロボティスタ、九州オリンピア)における作業を進めた。その他、より広範囲の分担者を含めた対面会合や試験等を実施した。年度後半に、完成した電装系をドームふじに輸送して現地における氷床深層掘削(最初のシーズン)に使用した。観測隊帰国後の3月にハイブリッド会合を低温研会議室にて開催し(本研究費を使用)、今期の深層掘削の総括や今後の開発課題などの掘削技術に関する議論を3日間にわたって行った。

以下に具体的な取り組みや成果を挙げる。

◇打合せ・会合
・電装系開発会合:4月1日:1.ドリル組込回路の量産化について、作業情報共有&日程確認、ハーネス仕様、ヒーター&断熱検討、低温試験検討。2.検層機システムの全容情報共有&日程確認、必要作業洗い出し、追加Pt100配置検討。3.カメラ耐圧室、カメラシステム全容、伝送システム、耐圧コネクタ、ケーブル引き回し検討。

・電装系開発会合:6月21日:1.量産型回路の進捗確認・懸案事項の確認、日程、輸送、仕立て確認、ハーネス仕様、ヒーター&断熱検討、低温試験検討。2.7月の訓練(@九州オリンピア)の確認・検討。3.検層機(カメラシステム含)仕立ての確認、今後の方針検討。

・深層ドリル試験・訓練 7月16-18日:電装系筐体の接合確認、高速伝送装置の動作確認(3500mケーブル)、地上電源装置とリセット機構動作確認、検層機本体の確認、組立・接続・操作訓練

・低温研共同研究会合:3月24-26日:掘削シーズンの総括と今後の課題等の検討。
議題:66次隊深層掘削報告、67次隊計画、66次での問題点・課題、検層観測の技術課題、掘削孔カメラ、電装系/通信系開発、岩盤掘削、枝分かれ掘削
主な電装系の課題:各機器とモニタPCとの通信不具合、掘削孔・掘削場監視カメラ、耐圧室ブチル侵入、ウインチ操作ダイヤル感度、検層機(孔径測定、温度測定、カメラ)、ドリル取付カメラ、気象センサー不具合、液圧センサー較正、酢酸ブチル侵入感知センサー

◇成果
・第3期ドームふじ深層掘削ドリルに組み込む回路およびフレームの設計・製作
・回路取り出し用治具の設計・製作
・ドリル回路の南極への輸送、ドームふじにおける氷床深層コア掘削(541m深)
・カメラ試験機調達、耐圧ガラス試作
  
成果となる論文・学会発表等 川村賢二および第3期ドーム計画委員会、第3期ドーム計画WG報告、雪氷学会極地雪氷分科会、2024年9月、長岡

川村 賢二、永木 毅、中澤 文男、平林 幹啓、津滝 俊、第3期ドームふじ観測計画推進委員会、第3期ドームふじ深層掘削に向けた準備活動、日本地球惑星科学連合大会、2024年5月、幕張