共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
DNAとバイオマーカーの同時分析で解明する南極沿岸湖沼の環境・生態系変遷史 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 弘前大学大学院理工学研究科 |
研究代表者/職名 | 助教 |
研究代表者/氏名 | 梶田展人 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
関宰 | 北大低温研 |
研究目的 | 南極沿岸域に分布する露岩域の湖沼には、他大陸には見られない独特な生態系が存在している。しかし、それら生態系の発展史については、あまり明らかになっていない。湖底には、湖に流れ込む砕屑物や棲息する生物の遺骸が長い年月をかけて堆積しているため、柱状コアを採取して分析することで、湖沼の歴史を紐解くことができる。申請者らは、第64次南極地域観測隊において、東南極昭和基地周辺の湖沼から、湖盆の基盤に至る長尺の堆積物コアを大量に採取した。本研究では、堆積物コアに保存されている、生物の設計図であるDNAと、生物が合成した高分子有機化合物を分析し、湖沼の生態系発達史および湖沼環境変遷史を精確に捉えることを目指す。 |
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研究内容・成果 | 1.堆積物コアの分取・年代決定 第64次南極地域観測隊で採取した湖沼堆積物コアは、高知大学海洋コア国際研究所に保管されている。コアの非破壊分析を行い、堆積物コアの基本的な構造や特徴を捉えた。非破壊分析の結果、湖盆基盤までの掘削に成功しており、かつ堆積構造の乱れが少ないと判定されたコアを選定した。これらのコアを1cm間隔で切り分け、年代測定、バイオマーカー分析、DNA分析に供した。 2.年代測定 放射性炭素年代測定をBeta Analytic社に発注し、一部が納品された。 3.バイオマーカー分析 バイオマーカーの同定・定量・安定同位体比分析を行った。定量分析は弘前大学のガスクロマトグラフを用いて行った。安定同位体比分析は、低温科学研究所に出張して関宰准教授が管理運用するガスクロマトグラフ安定同位体比質量分析計を用いて行った。結果は現在解析中である。 4.DNA解析 分取したコア試料に含まれるDNAの解析を生物技研株式会社に依頼した。DNAの増幅を行う際には、ターゲットとする生物群によってプライマーの設計を変更した。真核生物やバクテリアを網羅的に復元できるプライマーを使った解析(メタバーコーディング解析)のほか、ハプト藻や珪藻を特に詳細に解析できるプライマーを使った解析(特異的解析)を行った。現在、解析結果の納品待ちである。 |
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成果となる論文・学会発表等 |
Preliminary results of the JARE64 geomorphological survey in Lutzow-Holm Bay, East Antarctica 石輪 健樹, 菅沼 悠介, 柴田 大輔, 梶田 展人, Van, Breedam Jonas, Mahesh Badanal Siddaiah, 山縣 広和, Buffoli Marina, Verleyen Elie, 巻 俊宏, Mohan Rahul, 池原 実 日本地球惑星科学連合大会2024年大会 2024年5月31日 |