共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

 オホーツク海沿岸におけるエアロゾルの光学的特性
新規・継続の別 新規
研究代表者／所属 富山大学学術研究部理学系
研究代表者／職名 教授
研究代表者／氏名 青木一真

研究分担者／氏名／所属／職名
　
氏　　名
所　　属
職　　名

1

 佐藤真樹 富山大学院理工 博士学生3年

2

 宮崎雄三 北大低温研

3

 的場澄人 北大低温研

研究目的 北海道大学低温科学研究所・環オホーツク観測研究センターが推し進めている環オホーツク地域の地球規模の環境変動に果たす役割と気候変動から受ける影響を解明するため、2023年10月より紋別市海洋交流館屋上にてエアロゾルの光学的特性観測を開始した。本研究は、大気中に浮遊する微粒子（エアロゾル）と水蒸気の生成変動要因を観測から捉えることを一番の目的としている。そのため、本公募の趣旨に対し適合している。さらに、連続自動観測を行うことによって、環オホーツク地域の環境、特に、冬期における流氷により海面が覆われることによる、大気―海洋間の時系列変化についても研究を進める。
Fig. 2023年10月〜2024年10月までの札幌と紋別の0.5µmのエアロゾルの光学的特性の月平均地　　
研究内容・成果 環オホーツク地域の環境、とりわけ、エアロゾルの光学的特性を知るために紋別市海洋交流館屋上において2023年10月よりエアロゾルの光学的特性観測を始めた。エアロゾルの光学的特性観測は、太陽光と周辺光の放射輝度を自動測定するスカイラジオメーター（PREDE. CO. Ltd， Tokyo， Japan）により、日中の晴天時に連続観測を行う。測定波長は、340 ，380， 400， 500， 675， 870， 940， 1020， 1225， 1600 nmの10波長で、主にエアロゾルの光学的特性の解析には、400， 500， 675， 870， 1020 nmの5波長を使って解析（SKYRAD.pack ver.4.2. Nakajima et al.， 2021）を行い、エアロゾルの光学的特性や体積粒径分布の時系列変化を得られる。同様の観測システムは、オホーツク海沿岸のみならず、札幌（北大低温研）、苫小牧（北大苫小牧研究林）、網走（気象庁網走地方気象台）においても、同様なエアロゾルの光学的特性観測を行っているので、北海道の広域補足データとしても考えている。また、さらに広域情報としては、2017年12月に打ち上げられた気候変動観測衛星「しきさい」（GCOM-C/JAXA）や2024年5月に打ち上げられた雲エアロゾル放射ミッション（EarthCARE/ESA・JAXA）などの地上検証や気候解明の評価も行う。今年度は、観測データの安定した蓄積と環オホーツク海を含む、北海道の広域的な変動を見た。図は、観測を開始した2023年10月から2024年10月までの北海道大学低温科学研究所（札幌）屋上と紋別市海洋交流館（紋別）屋上の0.5 µmのエアロゾルの光学的厚さの月平均値を示したものである。広域であるにも関わらず、同じような傾向がみられ、都市大気である札幌が必ずしも高いわけでもなかった。7月をぬかせば、概ね、日本各地と同じような季節傾向（春に最大、秋・冬に最小）が見られているが、2024年は7月が突出してどちらも高かった。原因としては、微小粒子による越境大気汚染が考えられ、西（札幌）から東（紋別）へと時間差で変動する様子が確認された。今後は、個々の事象や衛星観測との比較などを行い、さらに研究を進めていきたい。
Fig. 2023年10月〜2024年10月までの札幌と紋別の0.5µmのエアロゾルの光学的特性の月平均地　　
成果となる論文・学会発表等 Aoki， K.， M.Momoi， O.Dubovik and E.Lind: Long-term and current status in ground-based and maritime solar aureole measurements of aerosol optical properties from AERONET and SKYNET (AGU2024， Washington DC， 2024.12.09)
Aoki， K.， K.Kawamoto， Ma Momoi and K Miura: Validation of aerosol optical properties measure by sky radiometer in Mountain areas (APOLO 2024， Kyoto， 2024.11.20)
Aoki， K.，Masahiro Momoi， Milagros Herrera， Anton Lopatin， Oleg Dubovik， and Benjamin Torres: Intercomparison of aerosol optical properties from long-term observation (AeroCom/AeroSAT workshop， Liile， France， 2024.10.14)
Aoki， K.，Masahiro Momoi， Milagros Herrera， Anton Lopatin， Oleg Dubovik， and Benjamin Torres: Long-term observation of aerosol optical properties by ground-based and ship-borne Sky radiometer (AERONET science and application exchange in College Park， MD， USA， 2024.9.17)