共同研究報告書


研究区分 研究集会

研究課題

氷・水・クラスレートの物理化学に関する研究集会
新規・継続の別 継続(R01年度から)
研究代表者/所属 北大院 工学研究院
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 内田努

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

飯高敏晃 理化学研究所 先任研究員

2

竹中規訓 大阪公立大 現代システム科学 教授

3

原田慈久 東大物性研 教授

4

堀彰 北見工大土木開発科工学 准教授

5

竹谷敏 産業技術総合研究所 主任研究員

6

松本正和 岡山大理 准教授

7

秋山良 九州大理 教授

8

佐々木重雄 岐阜大工 教授

9

小松一生 東大理 准教授

10

島田亙 富山大 理工 准教授

11

八久保晶弘 北見工大 教授

12

菅原武 阪大院基礎工 助教

13

山口祥一 埼玉大理工 教授

14

佐々木海渡 東海大理 助教

15

灘浩樹 鳥取大工 教授

16

半田友衣子 埼玉大理工 助教

17

佐崎元 北大低温研

18

長嶋剣 北大低温研

19

村田憲一郎 北大低温研

研究集会開催期間 令和 6 年 3 月 7 日 〜 令和 6 年 3 月 7 日
研究目的 水(H2O)は地球上に最も多く存在し様々な物質に含まれている基本的な成分であるため、その物理化学的性質は様々な現象の基礎となっている。にもかかわらず、H2Oを単独に扱う学会や研究集会などがほとんどないのが現状である。従ってH2O分子に関わる研究を行っている研究者は、それぞれ異なった分野に散在しており、所属学会も異なるため研究者間で情報交流できる機会は非常に少ない。そこで本研究集会では、氷、水、クラスレート水和物及びその基礎となるH2Oの物性を明らかにするため、所属学会や基盤となる学問分野を越えて情報交流を行い、研究者間のネットワークを構築するとともに、その根底をなすサイエンスを議論することを目的とする。
  
研究内容・成果 研究集会「H2Oを科学する・2023」は、平成22〜24年度に実施した低温科学研究所共同研究・萌芽研究「氷の物理と化学研究の新展開」の中で設立された「氷科学研究会」が中心となり、異分野でH2Oという分子に関わった研究を進めている研究者の情報交流の場として企画され、令和6年3月6〜7日にハイブリッドで低温科学研究所大講堂とZoomで開催された。国内外の産官学研究機関より水、氷、クラスレートなどH2Oの科学に関する32件の口頭発表が行われ(うち5件はリモート発表、11件はポスター発表)、活発な議論がなされた。発表者は大学学部生から企業や国立研究機関の研究者、名誉教授まで幅広く、今年は海外からの発表も2件行われた。発表内容も以下に示す通り、実験から計算化学まで様々なアプローチによる最先端の内容が多く、参加した研究者間での新たな研究協力関係も形成された。昨年度に引き続き対面、およびハイブリッド開催であったが、参加者も大学学部生や院生も多数参加し、大学・国立研究機関の研究者や企業の研究者に至るまで、のべ50名を超えた。
氷結晶成長セッションでは、冬季屋外施設の着雪氷を制御するための表面加工の研究や、高分子水溶液の氷結晶構造のXRD分析、凍上現象のメカニズムに関する発表があった。
アモルファスセッションでは、アモルファス氷の中性子線回折と熱容量測定の研究と、水素無秩序氷を計算上で作り出すための高速アルゴリズムの開発について発表があった。
水・水溶液の物性セッションでは、イオン周辺の水分子の構造化シミュレーションの研究、高分子ゲル中に拘束された水の物性(熱物性およびダイナミクス)に関する研究2題、光ピンセットを使った水滴の観察による蒸気圧直接測定法の開発に関する発表があった。
高圧氷のセッションでは、氷VIIの核生成プロセスのシミュレーションに関する研究と、氷Vとその水素秩序化氷(氷XIII)に関する研究に加え、氷VIとその水素秩序化氷(氷XVとXIX)に関する研究について3題の発表があった。水素秩序相が二つ発見されている特殊な系について、国内外で積極的な研究が続けられていた。
ポスター発表は、主に学生の発表を中心に11演題が発表された。内容は、細胞の凍結保存に関する研究2題、水溶液中の水の構造に関する研究(電解質水溶液の振動分光測定、糖水溶液のXRD観測、塩水和物のTHz分光測定の3題)、高圧氷(氷X)と高圧エタノール相に関する研究、ハイドレートの物性に関する研究(ゲスト分子の同位体分別、混合ガスハイドレートの核生成の2題)、微細気泡に関する研究(化学反応に及ぼすUFBの影響、ガスハイドレートの核生成に及ぼすUFBの影響の2題)が発表された。
ハイドレートのセッションでは、シミュレーション研究2題、中性子線を使った物性研究3題、エックス線を使った自己保存効果の研究、ハイドレートの工業的応用研究の発表があった。
  
研究集会参加人数 50 人