共同研究報告書
研究区分 | 研究集会 |
研究課題 |
気候変動下における雪氷圏の微生物動態および応答予測 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 横浜国立大学 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 鏡味麻衣子 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
|
所 属
|
職 名
|
|
1 |
三木 健 | 龍谷大学 | 教授 |
2 |
植竹 淳 | 北海道大学苫小牧研究林 | 准教授 |
3 |
星野 保 | 八戸工業大学 | 教授 |
4 |
岩切 鮎佳 | 東京大学大学院農学生命科学研究科 | 大学院生 |
5 |
松倉 君予 | 日本大学生物資源科学部 | 助教 |
6 |
杉山 賢子 | 京都大学フィールド科学教育科学研究センタ | 助教 |
7 |
和田 智竹 | 総合研究大学院大学 | 大学院生 |
8 |
高木 惇司 | 北海道大学苫小牧研究林 | 大学院生 |
9 |
小野 誠仁 | 千葉大学 | 大学院生 |
10 |
小林 綺乃 | 千葉大学 | 大学院生 |
11 |
中村 誠宏 | 北海道大学苫小牧研究林 | 教授 |
12 |
松岡 俊介 | 京大フィールド研 | 助教 |
13 |
中西 博亮 | 横浜国立大学 | 大学院生 |
14 |
福井 学 | 北大低温研 | 教授 |
15 |
仲 未凪 | 横浜国立大学 | 大学院生 |
16 |
瀬戸 健介 | 横浜国立大学 | ポスドク |
研究集会開催期間 | 令和 5 年 9 月 22 日 〜 令和 5 年 9 月 22 日 |
研究目的 | 雪氷圏は地球上の淡水全体の約76%を占め,貴重な淡水資源であるとともに,その変化は地球規模での水循環および物質循環に多大な影響を及ぼす。本集会では、氷床や氷河,季節雪など様々な雪氷圏において研究を展開している研究者を招聘し、微生物の生態や樹木や動物と関係に関する最新の研究成果について紹介していただく。同時に、気候変動の影響評価など今後の研究の展開について議論し、共同研究を発展させるきっかけとする。 |
|
|
研究内容・成果 | 2023年9月22日に研究集会「寒冷域の微生物動態および気候変動への応答予測」を開催し、雪氷圏の微生物に関する14件の発表が行われた。 最初に微生物の中でもカビやキノコなど菌類に焦点を当て、雪氷菌類の多様性や低温適応についての基調講演があった。温度だけでなく基質の状態や競争関係によって菌類が異なる生活史を取り得ること、野外での生態や多様性はまだまだ未解明であることが紹介された。 次に雪氷圏に生息する微生物に関する研究の紹介があった。まず日本の森林の樹木に影響を与える雪腐病菌や、落ち葉など有機物分解に影響を与える葉内生菌について研究発表があった。次に、エルズミーア島など北極圏の土壌,南極の湖沼など局地や,アラスカなどの氷河,月山など高山植生帯に出現する季節雪など様々な雪氷圏における微生物(雪氷藻類、クマムシ、ワムシ、ツボカビを含めた菌類、細菌類など)の分布や生物間相互作用、環境要因との関係に関する研究紹介があった。これら雪氷圏においても、次世代シーケンサーなどゲノム解析技術の飛躍的革新により多様な微生物が生息すること明らかにされつつある。しかし、遺伝子で検出される微生物の多くは、これまで培養や観察されておらず,生態が不明である。生態系において重要な働きをしうる微生物については、DNAメタバーコーディングだけでは解明できないことが多く、培養する重要性や、特定の基質で単離するなど多様性解明において一捻り加える重要性が指摘された。同時に、培養系が確立できた場合には、寒冷環境下での特殊な生活史の進化を解明できること、生物間相互作用の理解や気候変動の影響予測にも繋がるため、丹念な観察や単離培養の重要性について共通認識した。 また、日本全国の研究林における長期モニタリングや地点・地域間比較、コモンガーデン実験(異なる地域において統一手法で同じ実験を行い比較する)の成果発表があった。長期観測や広域比較はパターン認識には重要であるが、プロセスを理解するには細かく集中してみていくことも重要であることから、今後の研究の方向性について議論が行われた。今回、国内の様々な研究林に所属する研究者が集まったため、今後の雪氷圏の変化予測や保全策の立案につなげるための重要な意見交換となった。今後は研究林間でより情報共有を進め、気候変動に対して最も脆弱である雪氷圏の変動予測にいち早く繋げることを参加者全員の共通目標であることを確認し、研究集会を閉会した。 |
|
|
研究集会参加人数 | 22 人 |