共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
ミリ波サブミリ波超広帯域分光撮像観測に基づく星間物質進化の研究 |
新規・継続の別 | 継続(H28年度から) |
研究代表者/所属 | 北見工業大学 |
研究代表者/職名 | 助教 |
研究代表者/氏名 | 竹腰達哉 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
河野孝太郎 | 東京大学天文学教育研究センター | 教授 |
2 |
田村陽一 | 名古屋大学 | 教授 |
3 |
酒井剛 | 電気通信大学 | 准教授 |
4 |
中坪俊一 | 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 | 主幹研究開発員 |
5 |
木村勇気 | 北大低温研 | |
6 |
藤田和之 | 北大低温研 | |
7 |
森章一 | 北大低温研 |
研究目的 | 星や銀河の材料となる低温のガス・ダストの観測的研究は、銀河、星、惑星の形成過程を探るうえで重要である。本研究では、天体形成に直結する100K以下の低温の星間物質を効率よくトレースし、温度や質量といった物理量を推定するうえで最適な、ミリ波サブミリ波帯の超広帯域観測の実現を⽬指す。今年度は、チリ共和国・アタカマ砂漠に設置されているASTE望遠鏡へ搭載されるオンチップ超伝導分光計DESHIMAの運用を行う。初期宇宙の星形成銀河からの分子・電離輝線放射を効率的に検出可能な220-440GHz帯を分解能R~500程度での分光を可能にする、超広帯域を同時観測可能なサブミリ波分光観測システムを世界に先駆けて構築することを目指す。 |
研究内容・成果 | 2022年度までに、DESHIMAの科学観測に必要な性能を持つ220-400GHz帯の検出器チップの作成が完了し、科学観測に向けた準備は整っていたものの、COVID-19による渡航制限に加え、ASTE望遠鏡の副鏡トラブルが発生していた。今年度は、ASTE望遠鏡の副鏡トラブルが解決し、また渡航制限が解消されたため、2023年9月よりASTE望遠鏡へのDESHIMAの搭載作業と評価試験を実施した。 望遠鏡への搭載は、2017年のDESHIMAセッション時に利用した低温研製のクライオスタットの保持搭載機構を利用して行った。また、オランダ側で開発され、10Hzでのビーム切り替えを可能にする新たな光学システム、スカイチョッパーと、受信機室光学系をヘキサポッドで駆動する機構も新規に搭載された。受信機室内のセットアップを図1に示す。DESHIMAの試験観測は、10月下旬から12月上旬に渡って実施され、観測途中でASTE望遠鏡の副鏡故障が発生したものの、2週間程度の観測を実施できた。図2に試験観測で得られた活動銀河NGC 1068のスペクトルを示す。170GHzのバンド幅のスペクトルを一挙に取得し、CO(J=2-1), CO(J=3-2)の回転遷移放射輝線を同時に得ることに成功した。現在、データ較正や解析手法の改良を進めており、2024年度は本格的な科学運用を実施する予定である。 また、本研究課題で開発を進めているメキシコの50mミリ波望遠鏡LMT用の超広帯域受信機FINERについては、光学設計がほぼ完了し、機械設計を進める段階になった。来年度、低温研工作室において光学系コンポーネントの製作を実施する予定である。 |
成果となる論文・学会発表等 |
"DESHIMA 2.0: Full system evaluation of the ultra-wideband integrated superconducting spectrometer in laboratory", K. Karatsu, A. Endo, A. Moerman, S. J. C. Yates, R. Huiting, A. Pascual Laguna, S. Dabironezare, V. Murugesan, D. J. Thoen, H. Akamatsu, T. J. L. C. Bakx, B. T. Buijtendorp, K. Fujita, R. Kawabe, T. Kitayama, K. Kohno, L.H. Marting, S. Nakatsubo, T. Oshima, M. Rybak, T. Takekoshi, Y. Tamura, A. Taniguchi, P. P. van der Werf, and J. J. A. Baselmans, the 20th International Conference on Low Temperature Detectors, Daejeon, Korea, 23-28 July 2023 (poster) |