共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

グリーンランド南東ドームコア中の微量金属の濃度・同位体・化学種分析
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 海洋研究開発機構
研究代表者/職名 研究員
研究代表者/氏名 栗栖美菜子

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

高橋嘉夫 東京大学 教授

2

田中祥太 東京大学 大学院生

3

名取幸花 東京大学 大学院生

4

飯塚芳徳 北大低温研 准教授

研究目的 グリーンランド南東ドーム(SE-II)アイスコアの微量金属の濃度・化学種・同位体を時系列的に復元し、産業革命以降から現在にかけて、大気中微粒子(エアロゾル)中の微量金属元素の発生源の変化や大気輸送中に起きた化学的な性質変化、沈着フラックスを復元することを目的とした。
  
研究内容・成果 低温研の低温室を使わせていただき、アイスコアの試料処理を行った。実際の試料処理の前に、MQ氷を用いて汚染テストを行い、酸洗浄したセラミック包丁で外周1cmを削ることで、汚染を除去できることが確かめられた。
その後、20年おき・季節別にコアの処理を行った。所属機関の実験室で酸分解を行い、濃度分析を行った。その結果、人為起源である亜鉛や鉛などの金属元素の沈着フラックスの増加傾向を捉えることができた。
また、コアの外周部の一部は別途昇華を行うことで粒子を取り出して、X線吸収微細構造法による化学形態分析に用いた。汚染物質の排出が特に多い1970年前後にFe, Znの化学形態が変化し、水溶性が増加する一方、2010年以降は水溶性が低下する傾向が大まかに見えてきた。
今後同位体分析も進めていく予定である。
  
成果となる論文・学会発表等 S. Tanaka, M. Kurisu, S. Natori, S. Otosaka, Y. Iizuka, Y. Takahashi. Concentration, chemical species, and stable isotopes of trace metals in anthropogenic aerosols recorded in the Imperial Palace moat sediments and Greenland ice core, AGU annual meeting 2023, San Francisco, 2023 Dec.

田中祥太, 高橋嘉夫, 栗栖美菜子, 名取幸花, 飯塚芳徳, 皇居お堀堆積物とグリーンランドアイスコアに記録された人為起源エアロゾルの化学分析, 第31回環境化学討論会, 徳島, 2023年5月.

田中祥太, 高橋嘉夫, 栗栖美菜子, 名取幸花, 飯塚芳徳, 皇居お堀堆積物とグリーンランドアイスコアに記録された人為起源エアロゾルの化学分析, ⽇本地球化学会 第70回年会, 東京, 2023年9月.