共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

北海道-東北地域の油ガス田微生物生態系の解明と環境資源技術への適用
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 秋田県立大学
研究代表者/職名 助教
研究代表者/氏名 渡邊美穂

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

宮田直幸 秋田県立大学 教授

2

福井学 北大低温研 教授

研究目的 北海道-東北の日本海側地域は原油・天然ガスが湧出する油・ガス田が集中して存在しており、国内の資源産出において中核的な役割を果たしてきた。原油・天然ガス等埋蔵地下資源の回収・制御に関する技術の開発は世界的にも解決が求められる重要な課題となっているが環境微生物の働きを利用した環境・資源技術の確立が有効であると考えられている。
本研究では、1, 原油のメタン転換によるエネルギー回収、2, 微生物燃料電池システムを利用した原油からの発電とメタン生成制御の検討、3, 地下微生物複合系を利用した無酸素環境からの原油汚染除去の3つのアプローチを進める。
  
研究内容・成果 <研究内容>
1)試料採取
微生物探索のフィールドとして、本研究では秋田県の3つの油・ガス田および、北海道内の2油田(厚田油田[石狩市]、石狩油田[石狩市]からサンプリングを行った。
2)地下圏サンプルの微生物群集構造解析
それぞれの油田・ガス田に存在する微生物群を特定するために、微生物群集構造解析を行った。各環境試料のDNA抽出を行い、全原核生物の16S rRNA遺伝子をターゲットとし次世代シーケンサーを利用したアンプリコンシーケンス解析を行った。微生物群集構造はすべての油田で大きく異なっており、地下環境で異なる微生物反応が起こっていることが推察された。
3) 微生物燃料電池による原油分解-メタン生成プロセスへの影響評価
本研究においては、微生物燃料電池システムにより電子を連続的に回収しながら原油分解を促進し電気エネルギーを回収しながら天然ガス生成の制御が可能かどうかを検討した。微生物燃料電池の発電とメタン生成の度合いを追跡し、微生物系が安定したところで各電極表面の微生物群集構造解析を行った。この微生物燃料電池においてはメタン生成と発電は競合する関係にあることが示された。イーストエキス添加による発電とメタン/二酸化炭素生産の比率より、低分子有機化合物の添加は原油分解のバイオスティミュレーションに有効であり汚染除去における有効な手法であることが示された。

  
成果となる論文・学会発表等 吉田菜々穂、渡邊美穂、岡野邦宏、高階史章、加来伸夫、宮田直幸「原油汚染土壌を用いた微生物燃料電池による天然ガス生成への影響の検討」講演番号L-71
第57回水環境学会年会(学生年会ポスター発表賞ライオン賞受賞)