共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

超微量有機物の化学分析拠点の構築II
新規・継続の別 継続(R03年度から)
研究代表者/所属 北大低温研
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 大場康弘

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

奈良岡浩 九大理学研究院 教授

2

高野淑識 海洋研究開発機構 上席研究員

3

橋口未奈子 名古屋大学環境学研究科 助教

4

力石嘉人 北大低温研 教授

研究目的 「はやぶさ2プロジェクト」によって回収された小惑星リュウグウの破片が地球に無事帰還し,科学者だけでなく世間一般にも極めて高い注目を集めている。申請者はR3年度よりはやぶさ2初期分析メンバーとして当該プロジェクトに参画しており,実際に小惑星リュウグウのサンプルを分析する機会を得た。さらに,NASAが主導する小惑星サンプルリターン計画「OSIRIX-REx」にも有機物分析チームとして参画しており,2023年のサンプル帰還を見据えた予備分析の準備をおこなっている。今年度は,小惑星リュウグウからのリターンサンプルやOSIRIX-REx計画での予備分析試料の分析を行い,宇宙・惑星科学分野の発展に資する。
  
研究内容・成果 研究所内に構築した分析拠点内で模擬サンプル(アモルファスケイ酸塩,サーペンティン粉末など)分析をおこない,分析操作中の汚染等の混入がないことを確認した。現有の炭素質隕石,NASAから提供される炭素質隕石,そしてリュウグウサンプル中での存在が期待される,窒素複素環化合物の分析手法の改善に着手し,実際にサンプルに適用した。代表的な炭素質隕石であるマーチソン隕石から,地球上の生命に不可欠な5種類の核酸塩基(シトシン,ウラシル,チミン,アデニン,グアニン)すべてを初めて検出することに成功した。さらにそれ以外にも14種類の核酸塩基類似化合物が検出され,その大半が本研究で初めて隕石中から検出された。さらに小惑星リュウグウのサンプルからもウラシルやナイアシン(ビタミンB3としても知られる)が検出された。これらの発見は生命誕生前の地球上に,隕石など地球外物質によって生命の構成成分が普遍的に供給されていたことを強く示唆する。
隕石中核酸塩基検出の論文は2022年4月に発表され,以来7万回以上論文にアクセスがあり,Altmetricsスコア(学術論文の影響度を評価する指標)も2420と非常に高い注目を集めている(引用数29回 by Google Scholar, 2023年3月23日付)。リュウグウ論文も同様に高い注目を集めており,公表1日ですでに3867回のアクセス,Altmetricsスコアが1293となっている。またそれぞれウィキペディアの「2022年の科学」「2023年の科学(現時点では英語版のみ)」にノミネートされるなど,一般的に高い注目を集めていることが明確である。
  
成果となる論文・学会発表等 Y. Oba et al. Identifying the wide diversity of extraterrestrial purine and pyrimidine nucleobases in carbonaceous meteorites. Nature Communications, 13, 2008 (2022)
Y. Oba et al. Uracil in the carbonaceous asteroid (162173) Ryugu. Nature Communications, 14, 1292 (2023)