共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
海底地形と渦がつくる亜寒帯特有の循環形成と変動メカニズムの理解 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者/職名 | 主任研究員 |
研究代表者/氏名 | 美山透 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
三寺史夫 | 北大低温研 |
研究目的 | これまでの共同研究で、海底地形と渦の相互作用による順圧流が北海道沖準定常ジェットを説明できることを解析解や二層モデルで示した(Miyama et al. 2018)。また、理論は現実の海洋循環にも適用可能であり、亜寒帯フロントの経年変動へも関わっていることを示し(Mitsudera et al. 2018)、移行行領域のブイが海底地形に対応した流れで輸送・滞留する様子も明らかになった(Nishikawa et al. 2021)。しかし海底地形はデータセットによって大きく異なり、亜寒帯循環の理解を難しくしている。本研究では、理論解やモデルを使って、海底地形が海洋前線帯形成に与える影響を調べる。 |
研究内容・成果 | JAMSTEC地球シミュレータによる水平解像度1/20 度(約5km)の北太平洋域渦解像海洋モデルOFES2に、移行領域での地形の様子が異なるGEBCO(図1a)とETOPO1(図1b)との海底地形データセットを与えた実験を行った。GEBCOの地形は移行領域の地形が不自然になめらかで、そのため北海道沖準定常ジェットが作る物理が素直に働きやすく、定常ジェットが強すぎる傾向がある(図1a)。それに比べて、ETOPO1には細かい地形が含まれており、定常ジェットはGEBCOの場合よりも弱い。その違いは水温場に大きく現れており、差を引くとGEBCOのケースの場合が明らかに定常ジェットでの温度が高くなる(図2)。これらの事は、地形データ間のちょっとした差が、移行領域の水温場に大きく影響を与えることを示している。 さらに、二層モデルをつかって、粘性のパラメタリゼーションの違いが流れ場にどのような影響を与えるかを調べた。biharmonicの粘性項で係数0.01m/sで計算した場合、渦が強すぎるためにシャツキー海台で相互作用により順圧流が発生してしまい、黒潮続流が現実的に再現されることが妨げられていた(図3a)。また北海道沖準定常ジェットが強すぎる傾向があった(図3a)。粘性係数を0.02m/sにした場合、渦が抑えられ、黒潮続流や北海道沖準定常ジェットがより現実的な流れとなった(図3b)。Smagorinsky biharmonic粘性項も試したが(図3c)、これは図3aと同様な結果をしめした。これらの結果から、例え地形が同じでも、パラメタリゼーションの違いにより渦の強さが異なり、地形の感じ方が影響を受けて黒潮親潮混合域の流れが大きく影響を受けることが分かった。 |
成果となる論文・学会発表等 | Humio Mitsudera, H. Ashida, T. Miyama, Impacts of bottom topography on the formation of the North Pacific subtropical-subarctic frontal zone, 12th International Workshop on Modeling the Ocean, 2022/6/28,Hybrid meeting - in person in Ann Arbor MI, USA, online from the world |