共同研究報告書
研究区分 | 研究集会 |
研究課題 |
「樹木の生態に対するシンクベースの生理的機序からの探求 III」 |
新規・継続の別 | 継続(H31年度から) |
研究代表者/所属 | 京都府立大学大学院生命環境科学研究科 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 隅田明洋 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
奈良一秀 | 東京大学大学院新領域創成科学研究科 | 教授 |
2 |
近藤侑貴 | 神戸大学大学院理学研究科 | 准教授 |
3 |
牧田直樹 | 信州大学理学部 | 助教 |
4 |
孫麗娟 | 北京大学 生態学分野 | PD |
5 |
三木直子 | 岡山大学大学院環境生命科学研究科 | 教授 |
6 |
韓慶民 | (国研)森林機構 森林総合研究所 | 室長 |
7 |
和田尚之 | 道立総合研究機構森林研究本部林業試験場 | 研究職員 |
8 |
斎藤秀之 | 北海道大学大学院農学研究院 | 講師 |
9 |
檀浦正子 | 京都大学大学院農学研究科 | 助教 |
10 |
小野清美 | 北大低温研 | 助教 |
11 |
滝沢侑子 | 北大低温研 | 助教 |
研究集会開催期間 | 令和 3 年 9 月 22 日 〜 令和 3 年 9 月 22 日 |
研究目的 | 環境変動に対する課題解決に関連し、北方林樹木に対しても多くの生理・生態学研究が行われてきた。その研究の流れの中で『樹木個体内の各器官に配分される光合成産物や栄養分の割合は、配分先であるシンク器官の活性の差によって決まり、その結果として樹木の成長が起こる』という新たな視点が広がっている。この『シンクベース』の生理的機序に基づいて樹木の生態現象を解明する研究を進めるにあたり、ラボでの作業をメインとする研究者や野外をメインとする研究者など国内で活躍する異分野の研究者間で研究成果の情報を共有し、今後の連携を図ることが本研究集会の目的である。本年度は地下部の動態に関する研究に重点を置いて発表を編成した。 |
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研究内容・成果 | 本年度もCOVID-19感染拡大の影響のため、オンラインのみで1日で開催することとなった。2021年9月22日(水)9:30〜17:40に全講演者8名がZoomを利用したリモートでの講演を行った。低温研共同研究者小野清美博士・滝沢侑子博士がZoomのホストを担当し、共同研究者である斎藤秀之博士(北大院)、檀浦正子博士(京大院)、隅田(責任者:京都府大院)および小野清美博士がZoom上で司会を務めた。また、一般の聴講希望者にZoomによる集会内容を公開した。 まず隅田が、趣旨説明の発表の中で、野外で観察される生態学的現象が起こるメカニズムは正しく理解されているかどうかについて問題提起し、過去2回の集会内容をレビューする形で解説し、今回の集会の主眼点を説明した。次に、韓慶民博士(森林総研)が、栄養分のシンクとなる開花から種子結実までのスケジュールが異なるブナ科常緑広葉樹数種において炭素利用動態がどのように異なるかについて研究紹介を行った。三木直子博士(岡山大院)は、乾燥等によって生じた落葉広葉樹の道管の通水阻害からの回復における樹体内の糖輸送の重要性について報告した。近藤侑貴博士(神戸大院)は、植物の水や栄養分の輸送に関わる維管束内で木部細胞になるか師部細胞になるかがどのような分子機構で制御されるのかについて最新の研究成果を発表した。牧田直樹博士(信大理)は、地下部における樹木の細根の形態や動態を詳しく調査しその炭素シンクとしての役割について報告した。奈良一秀博士(東大院)は、樹木の根に共生する菌根菌の動態についてレビューを行い樹木の光合成産物のシンクとしての菌類の重要性について話題提供した。孫麗娟博士(北京大)は、土壌微生物動態や土壌の炭素:窒素比の維持において樹木の根からの滲出物がいかに重要かについての研究を紹介した。檀浦正子博士(京大院)は、根や土壌への光合成産物の移動速度やそれに対する菌根菌の影響などを炭素安定同位体を用いて調べた研究を紹介した。各発表後の質問時間においては、リモートで聴講した聴講者から非常に多くの質問があり、集会全体にわたり活発な討議が行われた。最後に全体を通した質問を含む総合討論を行った。 100名のオンライン聴講申し込みがあり、集会終了後に全講演者および聴講者に対してウェッブでアンケートを行った結果、運営者を除き46名からの回答が得られ、滝沢侑子博士がその結果を取りまとめた。その内訳は、ポスドク・研究所研究員・大学教員が約2/3、1/3が学部学生・大学院生等であったが、一つのアカウントで複数の学生・研究員が視聴したとの報告もあった。各発表においては基本的に発表25分、質疑応答15分としたが、両方とも適切な時間配分だったとの回答が大部分を占めた。前年度同様ほとんどのアンケート回答者が集会を高く評価した。 |
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研究集会参加人数 | 106 人 |