共同研究報告書
研究区分 | 研究集会 |
研究課題 |
海洋生物の低温での実験飼育法に関する研究集会 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 北大低温研 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 力石嘉人 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
桑田晃 | 東北区水産研究所 | 主幹研究員 |
2 |
小濱剛 | 千葉科学大学 | 教授 |
3 |
山本俊政 | 岡山理科大学 | 准教授 |
4 |
山口太一 | 岡山理科大学 | 助教 |
5 |
石坂隆宗 | SID創研 | 研究員 |
6 |
山内啓誠 | SID創研 | 研究員 |
7 |
藤田昌紀 | SID創研 | 研究員 |
8 |
滝沢侑子 | 北大低温研 |
研究集会開催期間 | 令和 4 年 3 月 7 日 〜 令和 4 年 3 月 8 日 |
研究目的 | 低温研・同位体物質循環分野では,これまでに,共同利用・共同研究拠点の一般共同研究として,飼育魚類・甲殻類を用いた共同研究を実施してきた。これらの共同研究により,個々の研究者が,実験飼育に関する様々な技術,ノウハウを持っていることを再認識するとともに,各研究者によって持ち込まれた試料の安定同位体比解析から,魚類・甲殻類の低温,低塩分,または,低pH,それぞれへの適応メカニズムに関する初見が集まりつつある。そこで,これまで一般共同研究を別々に実施してきた研究者を一同に招聘し,それぞれの研究者がもつ飼育技術,そしてこの3年間に得られた結果を共有・議論するため,本研究集会を開催する。 |
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研究内容・成果 | 生物を実験飼育し,代謝産物の量や安定同位体比を解析することで,私たちは,生物の代謝における物質の流れ(合成・分解・輸送・貯蓄など)や,それに伴うエネルギーの保存・消費を知ることができる。そしてこれらの知見は,生物が地球環境へ適応するために何をしているのかを正確に理解することにつながる。しかし,生物の実験飼育は困難な場合が多く,その傾向は海洋の生物(魚・貝・甲殻類など)においてとくに顕著である。実際に,大学の研究室レベルの実験飼育では,水温23〜26℃,pH 8.1〜8.2,塩分濃度3.5%の極めて限られた条件でしか海洋生物の実験飼育ができない。例えば,低水温で飼育する場合には,東北・北海道などの寒冷地域において,海に隣接する水族館や大型の研究施設で,新鮮な海水を海から取り入れ,飼育によって汚れた海水を海に排出する以外の優れた手段がない。本研究集会では,これらの課題に取り組む研究者を集め,活発な議論を行った。 研究集会のプログラムは,以下の通りである。 3月7日 13:30-14:00 小濱剛(千葉科学大学 危機管理学研究科)「モクズガニの陸上養殖技術開発と地域への応用」 14:00-14:30 舘内匠(千葉科学大学 危機管理学研究科)「ホンモロコ(Gnathopogon caerulescens)の効率的養殖手法の検討」 14:45-15:15 山口太一(岡山理科大学 研究・社会連携機構 生物生産教育研究センター北)「トラフグ Takifugu rubripes の飼育水中におけるカリウムの要求濃度」 15:15-15:45 藤田昌紀・山内啓誠(岡山理科大学 研究・社会連携機構 生物生産教育研究センター)「モンゴル国における好適環境水を用いた陸上養殖の可能性〜セントラルヒーティングを利用したタイガーGG. Epinephelus lanceolatus × Epinephelus fuscoguttatusの循環式陸上養殖試験〜」 16:00-18:00 山本俊政(岡山理科大学工学部 バイオ応用化学科)「好適環境水による陸上養殖技術の開発〜好適環境水の基礎をその可能性〜」 3月8日 9:30-10:00 力石嘉人(北海道大学・低温科学研究所)「安定同位体比を用いたエネルギー消費量評価の原理」 10:00-10:30 力石嘉人(北海道大学・低温科学研究所)「魚のエネルギー消費量と飼育水の塩分濃度の関係」 10:30-11:00 力石嘉人(北海道大学 低温科学研究所)「魚のエネルギー消費量と飼育水のpHの関係」 なお,新型コロナ感染症の拡大防止のため,会場に出入りする人数を,低温研関係者と講演者の十数名のみに制限し,それ以外の参加者は,オンラインにて参加していただいた。 本研究集会により,低塩分,低pH,低水温などの条件下での実験飼育に関するノウハウを交換し,また,それらの長所・短所・課題などに関して,活発な議論を行うことができた。参加した研究者が各自,課題を持ち帰り,各研究室で研究を進め,2年後の令和5年度に,再度研究集会を行うことで一致している。 |
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研究集会参加人数 | 18 人 |