共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

民生用重量計を利用した積雪重量自動計測システムの機能向上に関する検討
新規・継続の別 継続(H28年度から)
研究代表者/所属 東京都立産業技術高等専門学校
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 高崎和之

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

若林良二 東京都立産業技術高等専門学校 教授

2

真志取秀人 東京都立産業技術高等専門学校 准教授

3

吉田嵩 東京都立産業技術高等専門学校 助教

4

的場澄人 北大低温研

5

三寺史夫 北大低温研

6

高塚徹 北大低温研

研究目的  応募者らは平成29年度より、民生用体重計を利用した簡易的な積雪重量計を提案し、自動計測システムを構築してきた。その結果、データ処理部、通信モデムを含めて一辺約40cmのケースに収容可能なシステムを構築し、シーズンを通しての連続無人自動観測にも連続して成功している。このシステムは柔軟に拡張可能なことも特徴の一つであり、平成31年度の観測の際には積雪中の温度分布の計測を実施した。令和3年度はさらに紫外線、赤外線などの光量センサを追加し、融雪メカニズムの調査のための観測を行うことを目的とする。
図1 試作した照度計の外観  
研究内容・成果 本研究では、平成28年度より継続して開発を続けている積雪重量計の付加機能として赤外線、可視光、紫外線それぞれの照度を観測することを目的とした照度計を試作した。積雪重量計への組み込みと圃場への設置は完了し、観測が実施できる準備は整っているものの、大雪のため本報告執筆(2022年3月10日)時点で有意な観測結果は得られていない。
 本研究で開発している積雪重量計は、小型シングルボードコンピュータの一つであるRaspberry Piを使用しており、オペレーティングシステムとしてDebian系のLinux が稼働してる。そのため、比較的容易に観測機能を追加することができる特徴を有している。そこで、本研究では、赤外線観測用に940nm付近に分光感度を持つフォトトランジスタL-51ROPT1D1、可視光観測用に560nm付近に分光感度を持つフォトトランジスタNJL7502、紫外線観測用にUV-AとUV-Bに分光感度を持つ光センサ素子ML8511をそれぞれ用いた照度計を試作した。試作した照度計の外観を図1に示す。前述のセンサ類のほか、センサ出力をAD変換器で扱うことのできる電圧信号に変換するための電流-電圧変換回路や、紫外線センサの出力インピーダンスを小さくするためのバッファ回路にはオペアンプNJU7044を用い、AD変換器はワンチップマイコンPIC16F1827に内蔵されたAD変換器を使用した。測定結果は10進数の文字情報としてシリアル通信で外部に出力されるようになっており、AD変換器の出力値をVI、VV、VUとすると、赤外線、可視光、紫外線それぞれの照度EI、EV、EU[mW/cm^2]はEI=(VI/287)-0.43、EV=(VV/302)-0.41、EU=(VU/24.6)-8.33として求めることができる。シリアルデータ出力はUSB-シリアル変換器を介して積雪重量計のシングルボードコンピュータへと入力され時刻や他の観測結果と共に記録されるようになっている。本研究で開発した照度計は、測定結果をテキストデータとしてシリアル通信で出力することから、開発中の積雪重量計以外にもパソコンやマイコンなどとも接続して使用することができる。そのため、今後は、他の研究における活用が期待できる。
 赤外線と可視光の観測レンジは、雪中に埋設することを想定し、3mW/cm^2程度を上限として設計したが、これは太陽光を観測しようとする場合に必要とされる範囲の1/10程度であり、この設定が適切であるかは、検証が必要である。レンジ切り替え機能の追加や測定分解能の向上、複数のセンサを設置する際、干渉を与えないようにするためのセンサ基板の小型化、センサユニットと信号処理回路の分離、防水処理などが今後の課題である。
図1 試作した照度計の外観  
成果となる論文・学会発表等