共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
北方林の更新維持機構の生態学的・遺伝学的解析 |
新規・継続の別 | 継続(H17年度から) |
研究代表者/所属 | 群馬大情報 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 西村尚之 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
原 登志彦 | 北大低温研 | 名誉教授(予定) |
2 |
鈴木智之 | 東大院農学生命科学研究科 | 助教 |
3 |
板谷明美 | 三重大生物資源学研究科 | 准教授 |
4 |
小野清美 | 北大低温研 |
研究目的 | 本研究課題は、低温研と複数研究機関の生理生態学・遺伝学・数理解析学という異分野が連携した平成17年から継続して実施している共同研究である.本公募の共同研究に供される低温研の実験地である「大雪山・層雲峡付近の森林調査地」には老齢段階や発達段階の異なった林分構造が存在し、そのような森林群集の動態とそれに係わる生理的・遺伝的・気候的な要因を含めた生物間相互作用系の研究は、寒冷圏生態系の維持機構と地球規模の生物多様性を支えるメカニズムを解明するために極めて重要な課題となっており、そのため、本研究は北方林主要構成樹種の生態学的・遺伝学的な環境適応的特性の定量評価を目的として実施された. |
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研究内容・成果 | 本研究課題は平成17年から継続して実施している共同研究であるが、本年度が最終年度となり、昨年度から本研究の総括成果として実施している研究内容としては、長期毎木モニタリングと年輪コア解析による樹木成長動態にリモートセンシングを活用した森林動態情報を組み合わせた研究であり、そこで、令和3年度においては、これまでに得られた地上調査による樹木成長情報とUAVを活用した樹冠成長情報をGISにより統合させた北方林の動態を解析する研究を目的として、低温研大雪実験地にある原生状態の林分内の2ha調査区と遷移途中段階にある林分内の1ha調査区においてUAVにより空中写真を撮影し、オルソ画像から各樹冠面積や個体樹高を計測した.まず、2021年7月と10月に低温研実験地にある面積2haおよび1haの2つの固定調査地の上空にドローンを飛行させ、空中写真を撮影した.ドローンにはDJI社製 Mavic2Proを使用し、飛行前に撮影航路を作成して、対地高度80m、飛行速度7.9~13.0km/h、画像間の重なり率を約90%で自動操縦による空中写真撮影をした.また、撮影された写真の位置情報の精度を高めるために、調査区内でGNSS観測を実施し、測位衛星を介して調査区内の位置情報を取得した.次にSfM画像解析ソフトにより調査区上空からの林冠面のDEMとオルソ画像を作成し、二次林調査区と原生林調査区の各樹冠の抽出や主要樹種の樹冠の特徴の判読を行った.ただし、今年度も新型コロナウイルス感染症の影響により、調査スケジュールが度々変更になったこと、また、現地での調査時間を十分に確保できなかったことにより、当初の予定どおりに進めることができなかったが、以下のような研究成果が得られたので報告することとした.地上観測で得られた長期毎木調査データからそれぞれの調査林分における幹本数密度や胸高断面積合計、地上部バイオマス、樹種の絶対成長率、死亡率や新規加入率などを算出し、ドローン観測によって得られた樹冠面積の頻度分布や樹木密度、ギャップ面積などと比較をしたところ、いくつかの樹木群集属性における地上観測に対してドローン観測で判読できた割合は、地上部バイオマス合計ではどちらの林分でも90%以上であったが、樹幹本数密度では50%前後となり、個体群回転率が高かった下層樹木群集の構造の特徴はドローン観測では正確に捉えられないことがわかった.一方、地上観測による胸高直径とドローン観測による樹冠面積や樹高との関係については、どちらの調査区でも、また、どの樹種においても有意な相関があり、さらに、樹高に関しては地上からの測定とドローンによる測定の観測誤差が非常に小さかったことから、地上での樹木成長動態と空中からの樹冠状態・動態の情報とを関連させて解析する手法が可能であることが明らかとなった. |
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成果となる論文・学会発表等 |