共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
寒冷域アマモ根圏における窒素硫黄循環系マイクロバイオーム解析 |
新規・継続の別 | 継続(R02年度から) |
研究代表者/所属 | 日本大学生物資源科学部 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 中川達功 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
高橋令二 | 日本大学 | 教授 |
2 |
土屋雄揮 | 日本大学 | 助教 |
3 |
福井学 | 北大低温研 | 教授 |
研究目的 | 近年、アマモ根圏に生息する硫黄酸化菌が硫酸還元菌により生産された猛毒の硫化水素を酸化する際にアマモ根圏のpH低下やリン酸の可溶化が確認され、アンモニアの可溶化も示唆された。しかし、アマモ根圏の窒素硫黄循環系マイクロバイオームの分布は未知である。そこで、本研究ではレーザーマイクロダイセクションシステム法を使用して窒素硫黄循環系に関わるアマモ根圏マイクロバイオームの微視的空間分布を明らかにすることを目的とする。 |
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研究内容・成果 | 本年度も引き続き新型コロナウイルスの影響により、当初の計画を実施する態勢を構築できなかった。しかしながら、感染者数の減少期(10月)に試料採取の機会に恵まれ、厚岸湖の試料採取を実施し、調査と実験を行った。採取されたアマモ根と周辺の底泥は冷蔵で研究室まで空輸された。根と底泥からDNAを抽出し、アマモ根圏およびアマモ群落底泥におけるアンモニア酸化アーキアの群集密度を調べるため、アンモニアモノオキシゲナーゼ (amoA) 遺伝子を標的としたリアルタイムPCRを実施した。その結果、アマモ根の方が周辺底泥よりアンモニア酸化アーキアの群集密度が約10~100倍で多かった。この結果より、アマモ根にはアンモニア酸化アーキアを含むバイオフィルムの存在が推定された。さらに、根と底泥を接種源として改変アンモニア酸化菌培地を用いて、アンモニア酸化アーキアの培養を試みた。培養温度は4℃、10℃、20℃、30℃で培養した。その結果、石英砂培養(接種源:泥, 培養温度:10℃)、石英砂培地(泥, 20℃)、海洋性重炭酸培養(泥, 20℃)、石英砂培養(泥, 30℃)で顕著な亜硝酸生成が認められた。さらに、ほとんどの培養系で硝酸濃度が700 ppmを超えた。さらに、3回継代後の培養液からDNAを抽出し、amoA遺伝子を標的としたPCRを行い、アンモニア酸化アーキアが培養できているかを確認した。その結果、(接種源:根・石英砂なし・酸素なし4℃)と(接種源:泥・石英砂あり・30℃)以外の22培養系からアンモニア酸化アーキアのPCR産物が検出された。この結果より、アマモ根圏に生息するアンモニア酸化アーキアの培養化の可能性が見出せた。 |
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成果となる論文・学会発表等 |