共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

グリーンランド南東ドーム浅層コアの密度プロファイルに基づく年代推定
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 北見工大
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 堀 彰

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

若沢拓哉 北見工大 修士2年

2

飯塚芳徳 北大低温研

研究目的 2021年5月にグリーランド南東ドーム浅層コアの掘削が予定された。基本解析測定として、低温科学研究所のX線透過率測定装置を用いて、全長250mの浅層コアの密度プロファイルを1mmの高分解能で連続的に行う。2015年に同じ地域で掘削した浅層コアに対して、同位体解析に基づく年代と密度プロファイルが得られており、2012年7月のグリーンランド全域での表面融解等の年代のタイムマーカーとなる融解再凍結層を検出し、今回掘削したコアの年代決定に資することを目的とする。
  
研究内容・成果 低温科学研究所のX線透過率測定装置を利用して、2021年に掘削された全長250mのグリーンランド南東ドームの浅層コアの密度測定を、1mmの高分解能で連続的に行った。1月末の時点で、2015年に同じ地域で掘削した浅層コアとほぼ同じ深さ約90mまでの密度プロファイルが得られた。2021年に掘削した浅層コアと2015年に掘削したコアの密度プロファイルの比較を行った。両者のプロファイルをは融解再凍結層による高密度部分を除き、
概ね良い整合性を示した。融解再凍結層に関しては、2012年7月に起きたグリーンランド全域の表面融解に起因する融解再凍結層が、2015年掘削の浅層コアでは深さ約9mであったのに対し、2021年の浅層コアでは深さ約17mであった。同地域の年間涵養量が水当量で約1mであり、この深さの密度がおよそ0.6kg/m3であることから、この深さの差は掘削した年の6年の差によるものと考えられることがわかった。2015年に掘削した浅層コアの融解再凍結層から、2012年も含めて1960年まで遡って大規模な表面融解が7回起きていると推定されたが、今回の浅層コアでは、大規模な表面融解に起因すると考えられる、顕著な融解再凍結層の数は前回と一致しなかった。特に1965年と推定された融解再凍結層はkん回の測定では観測できなかった。このように同じ地域で場所によって融解再凍結の様子に差があることが示唆された。今後は、過酸化水素濃度や電気伝導度、表面反射率等のデータを参照して年代の決定を行う必要がある。なお、NEEMの浅層コアで1889年起きたとされる融解再凍結層は、2021年に掘削した浅層コアも165m付近に見られた。この層は密度プロファイルのみからでは識別が難しいが、他の測定結果と合わせてタイムマーカーとして利用可能であると考えられる。
  
成果となる論文・学会発表等