共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

環境微生物における新規炭素中央代謝・アミノ酸生合成経路の探索
新規・継続の別 継続(H30年度から)
研究代表者/所属 海洋研究開発機構
研究代表者/職名 センター長代理
研究代表者/氏名 布浦拓郎

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

澄田智美 海洋研究開発機構 特任副主任研究員

2

千葉洋子 理化学研究所 研究員

3

力石嘉人 北大低温研 教授

研究目的 それぞれエネルギー源、炭素源、窒素源、更に温度、pH、塩分濃度等が異なる生息環境において、微生物は進化の道筋で獲得した仕組みを活かした環境特異的な生存・適応戦略をとる。その生存・適応戦略には、炭素の中央代謝やアミノ酸の生合成等の生命活動の根幹に関わる基本的仕組みも例外ではなく、実際、モデル生物とは異なる炭素中央代謝やアミノ酸生合成の経路が、環境微生物から見出されている。その一方、既存の代謝解析には多くのバイオマスが必要であることから、環境微生物への適用は極めて困難である。本研究では、このような環境微生物群を対象に、微量メタボローム解析技術を利用し、未知代謝経路の解析を実施する。
  
研究内容・成果 本研究は平成30年度に採択され、これまでに北海道大学工学部岡部教授らも含む共同研究により、嫌気的アンモニア酸化菌(アナモックス)の炭素固定系の解明に向けた解析を中心に、好熱性水素酸化菌の炭素固定系・アミノ酸生合成系の解明に向けた取組を進めてきた。平成31年度より、アナモックス菌炭素固定経路を特定し、論文執筆を進めており、本年度は追試実験を行う予定であったが、コロナ禍の為、試料準備が整わず、来年度以降に実施することとなった。また、始原的系統群Aquificaeやその類縁系統群であるThermodesulhobacteriaの炭素固定経路の多様性とその比較についても、同様に追加実験を行い、論文執筆を進める予定であったが、こちらも、コロナ禍により、来年度以降の実施となった。その他、独立栄養微生物と異なり、同様に始原的系統群に属すが、従属栄養性であり、培養が容易な超好熱アーキアや好熱性従属栄養細菌について、今年度より解析を開始した。
今年度は、上述のように限られた環境において実験を進めるだけでなく、本研究に関する解析技術に関する情報を取りまとめ、“低温科学”へ寄稿すべく執筆を進めている。
  
成果となる論文・学会発表等 澄田智美・島村繁・布浦拓郎 Orbitrap Fusionを用いたCE-MSと四重極GC-MSでのアミノ酸分析の比較 低温科学 2021 投稿中