共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
はやぶさ2試料ピックアップ用マニュピレータの開発及び周辺機器の開発 |
新規・継続の別 | 継続(H31年度から) |
研究代表者/所属 | 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 |
研究代表者/職名 | 主任研究開発員 |
研究代表者/氏名 | 中坪 俊一 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
加賀 亨 | 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 | 主任研究開発員 |
2 |
松井 大樹 | 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 | 研究開発員 |
3 |
香内 晃 | 北海道大学低温科学研究所 | 教授 |
4 |
森 章一 | 北海道大学低温科学研究所 | 技術専門職員 |
5 |
藤田 和之 | 北海道大学低温科学研究所 | 技術専門職員 |
研究目的 | はやぶさ2は、2020年12月豪州ウーメラ砂漠に小惑星リュウグウのサンプルが入った回収カプセルを切り離し新たな目的地に向かった。はやぶさ2が持ち帰った試料は想定を超える量であった。小惑星リュウグウは水や有機物を含む小惑星であることから、その分析により地球の水・有機物の起源解明が期待されている。本研究では、はやぶさ2が持ち帰った試料のうち、ピンセットやスパチュラなどでサンプリングが困難なミリサイズ未満の試料、特にそのサイズが数十〜数百μmの試料をバキューム(真空ピンセット)方式およびループ針(引っ掛けと微弱磁性)でピックアップする機器開発を目的とした。 |
研究内容・成果 | はやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウのサンプルは、JAXA宇宙科学研究所内にあるキュレーション施設内の窒素充填されたチャンバー内において、カタログ化や一次分析のキュレーション作業をおこなっている。本研究では、小惑星リュウグウの試料を顕微鏡で観察・ピックアップしやすい位置に微・粗動させるマニピュレータ(X/Y/Z/θステージ)と、試料をピックアップする二種類の機器を開発した。 マニピュレータは、昨年度の共同研究より開発をおこない、JAXAのキュレーターが操作性に慣れた、はやぶさ1のマニピュレータの操作機構を忠実に再現しつつ、今回キュレーションをおこなうチャンバー内で使用しやすいように設計・製作をおこなった。 一方、試料をピックアップする方式は、数mmサイズの大きな試料はスパチュラやピンセットを用い、微細なサイズは、はやぶさ1の時に用いた静電吸着方式によりおこなうため、今回の研究では、数十μm〜数百μm程度の試料を確実にピックアップする機器開発をおこなった。 本研究では、真空ピンセットを改良したバキューム方式(図2)によるピックアップ機器と、先端がループ状になった針を用いて把持するループ針ピックアップ方式(図1)の二種類を開発した。 マニピュレータやピックアップ機器開発は北海道大学、旭川工業高等専門学校、宇宙航空研究開発機構の3機関が各々の得意分野を担当し最大の成果が得られるようにおこなった。低温科学研究所技術部装置開発室には、その緻密な加工技術を用いマニピュレータステージの微動機構とループ針ステージの自在伸縮ステージの製作を中心に担当していただいた。 現在、開発したマニピュレータステージおよびピップアップ装置を用いてキュレーション作業を日々おこなっており、早ければ本年5月に小惑星リュウグウ試料を全国の研究機関に分配される予定である。 |
成果となる論文・学会発表等 |