共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
Black Seaから採取した嫌気的メタン酸化アーキアの膜脂質水素同位体組成 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 産総研地圏資源環境研究部門 |
研究代表者/職名 | 主任研究員 |
研究代表者/氏名 | 金子雅紀 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
高野淑識 | 海洋研究開発機構 | 主任研究員 |
2 |
力石嘉人 | 北大低温研 | 教授 |
研究目的 | アーキア膜脂質安定⽔素同位体⽐分析法を、世界中で最も嫌気的メタン酸化が活発で「天然の培養器」と呼ばれる難培養性嫌気的メタン酸化アーキア(ANME)が優占する⿊海の微⽣物マットへ応⽤し、ANME-1およびANME-2の膜脂質の⽔素安定同位体⽐を決定する。それにより、メタンの大気への放出を抑止するANMEの更なる性状(水素源、生体内プロトン動態)を明らかにする。 |
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研究内容・成果 | 1. 研究内容 ⼤陸地殻縁辺域は⼀次⽣産およびそれによりもたらされる堆積性有機物の分解によるメタン⽣成が活発であり、地球の炭素循環を理解する上で極めて重要な領域である。⼀⽅、⾼い温室効果で知られるメタンは低温な海底⾯付近において、嫌気的メタン酸化アーキア(ANME)により90%以上が消費され、⼤気へのメタンの放出を抑制している。このANMEは未だ単離培養が達成されておらず、代謝経路に関して未解明な部分が多い。 しかしながら、その特異な代謝様式の情報はANMEを構成する細胞膜脂質の炭素同位体組成に保存され、地球上で最も低い炭素同位体組成を持つ(-120‰ to -80‰)。申請者らは近年、この特異的な同位体組成が、ANMEのアミノ酸代謝に起因することを明らかにした。このような⽣体分⼦とその同位体組成によりANMEの性状を明らかにすることは、地球の物質循環を明らかにするだけでなく、未培養ANMEの単離培養技術を開発し、更なる性状を解き明かす上で極めて重要な知⾒になる。本研究では、代表者が開発したアーキア膜脂質安定⽔素同位体⽐分析法を、世界中で最も嫌気的メタン酸化が活発で「天然のANME培養器」と呼ばれる⿊海の微⽣物マットへ応⽤し、ANME-1およびANME-2の膜脂質の⽔素安定同位体⽐を決定する。 本研究の成功は、これまで誰も明らかにしていないANMEアーキアの⽔素源および⽣体内のプロトン動態についての知⾒を与える。それにより得られる代謝に関するさらなる理解は、ANMEの単離培養技術の開発に⼤きく貢献し、低温環境かつ酸化還元境界である地球の物質循環を考える上で極めて重要な、海洋堆積物表層でのANMEの適応機構の解明へと繋がると期待できる。 2. 成果 本年度はコロナ禍により、北海道大学低温研究所に赴き実験を行うことが出来ず、共同研究が遂行できなかった。 |
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成果となる論文・学会発表等 |