共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

X線透過法によるグリーンランド南東ドーム浅層コアの融解再凍結層の研究
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 北見工業大学
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 堀 彰

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

若沢 拓哉 北見工業大学 修士1年

2

飯塚 芳徳 北大低温研

研究目的  2020年5月にグリーランド南東ドーム浅層コアの掘削が予定されていたが、新型コロナウィルスの影響で翌年度に延期された。前年度に密度測定システムの制御用コンピュータの動作が不安定(起動しない)であったため、メモリーを交換したが、連続的な測定テストは行っていなかった。これとは別に、2019年にヒマラヤのランタン渓谷で掘削された全長12mの浅層コアが低温研に送られてきており、基本解析として密度測定を行う予定となった。
 そこで、本研究では当初の目的を変更し、測定装置の稼働テストも兼ねて、ランタン渓谷の浅層コアの密度測定を行い、ランタン浅層コアの特徴を明らかにすることを目的とする。
  
研究内容・成果  低温科学研究所のX線透過率測定装置を利用して、全長12mのランタン渓谷の浅層コアの密度測定を行った。得られた密度プロファイルは、低温研で測定された近赤外反射率や固体電気伝導度等のデータと比較を行った。
 透過光の写真画像や近赤外反射率と比較すると、透明な部分の密度が高くなった。密度と近赤外反射率間には負の相関が見られた。これは、元の積雪に近い状態では粒子が細かく、近赤外光が雪粒子の表面で反射されるが、再凍結した氷を含む部分では表面積が減少して反射が起こりにくいことが原因であると考えられる。このような高密度の融解再凍結層は、12mの浅層コアの10か所以上の部分で観測され、融解再凍結が頻繁に起きたことがわかった。まだ得られていない同位体分析の結果がわかれば、いつ、どのくらいの頻度で融解再凍結が起きたかが推定できることが期待される。なお、固体電気伝導との相関は見られなかった。
  
成果となる論文・学会発表等