共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

 油脂結晶の水および液状油への濡れ性制御
新規・継続の別 新規
研究代表者／所属 静岡県立大学食品栄養科学部
研究代表者／職名 准教授
研究代表者／氏名 本同宏成

研究分担者／氏名／所属／職名
　
氏　　名
所　　属
職　　名

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 佐﨑元 北大低温研

研究目的 食品は水と油脂，タンパク質，糖質が混ざり合った混合物である．タンパク質や糖質が水に溶解するのに対し，一般に油脂は水に溶解せず結晶固体もしくは液体として存在し，水と混合状態をとる．この際，油水の固液界面はお互いの結晶化に大きく影響すると考えられる．すなわち，氷，液状油，固体脂表面において油脂結晶または氷結晶化が促進，あるいは抑制される可能性がある．本研究では，油脂および氷結晶上での水および液状油の濡れ性を測定し，それぞれの核形成への影響を明らかにする．特に単結晶を基盤として用い，過冷却下での濡れの様子を観察することで，食品の冷凍保存下での氷，油脂結晶化の制御につながる知見を得る．
　　
研究内容・成果 濡れは氷および油脂結晶の核形成に関わる因子であり，食品の冷凍過程を理解するために重要である．油脂結晶への水の濡れ性を明らかにするために，接触角が測定されているが，このような実験では油脂の多結晶体が基板として用いられており，単結晶に対しての濡れについては調べられていない．それに対し本研究では単結晶を基板として用いる．本研究で得られる単結晶を用いたモデル系の結果とこれまでに得られている多結晶体を基板とした結果，および現在我々が取り組んでいる乳化剤と単結晶との相互作用の研究と合わせることで，実際の多結晶上での濡れに及ぼす結晶形状の効果や乳化剤が及ぼす効果について推察することができると考えている．
基板となる氷の単結晶育成や，接触角測定は佐崎教授の協力の下進める予定であったが，研究所への訪問がかなわなかったため進捗はない．油脂の単結晶育成に関しては申請者が経験を有しており，数10〜100ミクロン程度の単結晶を育成し，その成長の様子を観察することに成功している．また油脂単結晶上にて，液状油が共存する様子を観察することに成功した．その際，過冷却状態であるにも関わらず，液状油は長時間固化せず，液体のまま結晶表面に存在していた．また結晶表面を移動する様子も観察された．液状油が移動した後には結晶表面に跡が残っており，結晶の成長，もしくは融解が起きたと考えられるが詳細は不明である．今後は油脂単結晶表面に水滴もしくは油滴を置いたときの接触角を干渉計により測定する予定である．特に接触角の温度依存性を明らかにし，液体の融点前後での物性変化を明らかにする予定である．
　　
成果となる論文・学会発表等