共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
低温アモルファス氷表面の電子状態の実験的解明への挑戦 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 東大先進科学研究機構 |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 羽馬哲也 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
渡部直樹 | 北大低温研 |
研究目的 | 本研究では,氷星間塵の光化学反応を理解するために必要不可欠な「氷表面の電子状態」を実験的に調べることを目的とする.北大低温研で稼働している超高真空・極低温表面反応実験装置を用いてアモルファス氷を基板に作製し,波長可変光パラメトリック発振器レーザーを用いて190-250 nmのあいだの任意の波長の光を照射する.氷表面の水(H2O)分子の光分解によって脱離した水素(H)原子を共鳴多光子イオン化法によって直接検出し,H原子の信号強度についてのレーザー波長依存を測定することで,アモルファス氷表面の電子状態について議論する. |
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研究内容・成果 | 本研究で計画しているような実験は,現状世界中を見ても北大低温研でのみ可能であるため,当初は北大低温研を訪問し,実験を行う予定であった.しかし2020年4月-5月ならびに2021年1月から3月まで新型コロナウイルス感染症への対策として緊急事態宣言が出るなど,本年度は1年間にわたり移動や対面を伴う研究活動は大きく制限されることになった.全国で感染者数のもっとも多い都道府県である東京都から北海道に移動し,北大低温研で実験をおこなうことはとくに感染リスクが高いため,残念ながら本年度は北大低温研の訪問を断念することにした. 代わりに研究分担者である渡部直樹教授とこれまでの研究結果についてオンラインで議論し,成果を論文にまとめることに注力することにした.結果として,委研究代表者が筆頭著者として国際学術誌への原著論文を2報発表することができた.また,来年度以降に北大低温研の訪問が容易に可能になった際に,共同研究を進められるように今後の計画についてオンラインで継続的に議論を重ねた. |
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成果となる論文・学会発表等 |
Miyazaki et al., Photostimulated desorption of OH radicals from amorphous solid water: Evidence for the interaction of visible light with an OH-ice complex, Physical Review A, 102, 052822(10pp), 2020. Tsuge et al., UV-ray irradiation never causes amorphization of crystalline CO2: A transmission electron microscopy study, Chemical Physics Letters, 760, 137999(6pp), 2020. Hama et al., Quantitative Anisotropic Analysis of Molecular Orientation in Amorphous N2O at 6 K by Infrared Multiple-Angle Incidence Resolution Spectrometry, The Journal of Physical Chemistry Letters, 11, 18, 7857–7866, 2020. Hama et al., In vivo characterization of the structures of films of a fatty acid and an alcohol adsorbed on the skin surface, Biophysical Chemistry, 266, 106459(14pp), 2020. |