共同研究報告書


研究区分 一般研究
研究課題 好適環境水で飼育した魚・甲殻類のアミノ酸安定同位体比の測定
新規・継続の別 継続(平成30年度から)
研究代表者/所属 岡山理科大学工学部バイオ・応用化学科
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 山本俊政

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名
1 力石嘉人 北大低温研 教授

研究目的 好適環境水は,生物の生育に必要不可欠な塩分元素を最低限の濃度で調整した人工飼育水であり,(1)陸上施設で,魚介類の養殖ができる,(2)海水・淡水を問わず,様々な魚介類が高成長率を示す,の2つの特徴から,魚介類を完全家畜化(天然生態系からの隔離)し,水産資源の安定的な獲得と自然保護が両立できる「夢」の養殖技術である。しかし,この「夢」の実現には,「高成長率の原因」を科学的に説明する必要がある。そこで,本研究では,アミノ酸の安定窒素同位体比(15N/14N)を測定し,飼育下におけるエネルギー消費量の変化を評価し,好適環境水を用いた飼育において観察される高成長率のメカニズムを探る。
  
研究内容・成果 昨年の共同研究により,好好適環境水で飼育した魚・甲殻類では,安定同位体の濃縮率に有意な差が出ることがわかった。また,その濃縮率は魚種により異なり,高成長を示す種類ほど,15N/14N比が著しく低下することがわかった。これは世界初のデータであり,かつ,生物のエネルギー消費量が,飼育水(海水・淡水・好適環境水)により異なることを明確に示すものであった。そこで,本年度の共同研究は,測定する試料を増やし,昨年度に得られたデータの再現性の確認を目的に研究をスタートした。
試料として,食用魚として重要種であるヒラメとトラフグを選定し,それらを,好適環境水(実験区)と海水(コントロール区)で飼育した。これらの試料に関して3月に,低温研を訪問し,アミノ酸の安定窒素同位体比(15N/14N)を測定する予定であった。しかし,新型コロナウィルスの感染拡大防止の措置として,低温研の受け入れ研究者(力石教授)により,3月の訪問の中止を打診されたため,試料の測定ができなくなってしまった。
本研究は,来年度の共同研究(一般研究)に継続申請し,採用されている。従って,新型コロナウィルスの感染拡大防止措置が解除されたら,すぐに低温研を訪問し,これらの試料の測定を行いたいと考えている。
  
成果となる論文・学会発表等