共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

氷縁域海氷分布を定める海氷・波浪・流れ相互作用の研究
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 東京大学 大学院新領域創成科学研究科
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 早稲田卓爾

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

小平翼 東大新領域 助教

2

豊田威信 北大低温研

3

三寺史夫 北大低温研

研究目的 夏季北極海氷縁域(マージナルアイスゾーン)における海氷分布モデル構築に向け、異なるスケールにおける海氷・波浪・流れの相互作用を整理すること
  
研究内容・成果 波浪海氷相互作用及び海氷分布に関して、12月16日、17日に北海道大学低温研に早稲田(代表)、小平(分担)、野瀬(東大・特任研究員)が訪問し、三寺教授、伊藤助教と研究打合せを行った。小平助教、野瀬研究員から北極海での計測結果についての報告が有り、伊藤助教からは南極及び北極での海氷および波浪観測事例、海氷の形成過程に関する概説などが行われた。また、海上保安庁巡視船そうや観測について伊藤助教より説明が有った。
 そして、本共同研究の一環として、2月9日から15日の海上保安庁巡視船そうや観測に、早稲田が乗船した。研究分担者豊田首席研究員を務める航海で、北海道大学と海上保安庁との共同で開始してから25回目の航海となる。今回は初めて波浪観測を行うということで、早稲田が乗船し、ステレオカメラシステムを利用した画像の取得、氷盤上への波浪ブイの設置を行った。航海に先立つ2月8日には小平助教、野瀬研究員も小樽港に集結し、観測の準備を行った。9日に出港し、10日から14日までの5日間観測を行った。
 ステレオカメラで毎時20分の計測を行い、主に初めの4日間で取得した画像データは併せて20時間におよぶ。うち10時間分程度が今後解析に使用する良いデータとなっている。乗船中は毎時北大豊田先生の目視観測に同行し、海氷の分類、波浪との相互作用の履歴などについて指導を受けた。2月10日の午後バスケット観測の際には、氷盤上に波浪ブイを無事成功することができた。その後波浪ブイは設置場所からオホーツク海を南下し、知床半島に沿って北上、根室海峡に侵入し、3月13日に通信が途絶えた。投入から13日まで雪か海氷の影響で断続的に通信が途絶えた。
 その他、多数の画像データを取得したため、現在その整理を行っている。特に海氷分類については、目視観測データと画像との比較を行い、今後の解析に役立てたい。ステレオ画像については3次元構築を今後行い、海氷サイズの分布などの解析を行う。波浪ブイデータは、顕著な波浪イベントは無かったが、その軌跡が海氷そのものの運動を示唆しているため、今後衛星データや風・流れの情報と併せて解析を行いたい。
 このように、この共同研究をきっかけに、貴重な情報交換および観測の機会を得ることができた。次年度は共同研究申請を行わなかったが、次の時には再度申請を行いたいと考える。
  
成果となる論文・学会発表等 とくになし