共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
南極リュツォ・ホルム湾定着氷域における海氷厚の分布と変動 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 沼津工業高等専門学校 |
研究代表者/職名 | 技術職員 |
研究代表者/氏名 | 杉本風子 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
牛尾収輝 | 国立極地研究所 | 准教授 |
2 |
田村岳史 | 国立極地研究所 | 准教授 |
3 |
大島慶一郎 | 北大低温研 | 教授 |
4 |
柏瀬陽彦 | 国立極地研究所 | 特任研究員 |
研究目的 | 海氷厚の観測は衛星からの情報のみでは観測が困難であるため、現場観測がより重要になっている。昭和基地のある東南極は南極海の中でも海氷観測がわずかにしか行われていない海域であるが、リュツォ・ホルム湾では長期に渡り海氷観測が定期的に行われており、その観測結果は世界的にも貴重なデータセットとなっている。本研究では6年分の観測結果からリュツォ・ホルム湾定着氷域における空間的氷厚分布を把握し、同時に衛星合成開口レーダ(ASAR)データを用いることで、定着氷の範囲及び厚さの変動を詳細にまとめ、その要因を明らかにすることをめざす。 |
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研究内容・成果 | ASARが稼働していた2002年から2011年の期間で、電磁誘導法で取得された海氷厚観測結果が存在する6年分について解析を行った。 リュツォ・ホルム湾定着氷域で行われた電磁誘導法による海氷厚観測の結果から、海氷厚の空間的分布が把握できた。ある程度の範囲で同程度の厚さが連続し、局所的に急激な氷厚の変化があるような空間分布をしていることが判明した。 また、ASARの画像からは定着氷の流出や氷縁の変化を確認でき、定着氷消長の履歴を追うことができた。現場観測が行われた各年について、観測のあった月までにその年の定着氷がいつから生成されていたものなのかを領域で分類することができ、それぞれ何年氷で構成されているのかが判明した。ASAR画像からの分類と海氷厚観測から得られた氷厚の空間分布を重ねると、ASARの後方散乱係数が明確に変化する箇所と過去に定着氷縁だった箇所、氷厚が大きく変化する箇所が一致した。定着氷縁では沖から海氷が押し付けられることにより、局所的に海氷の変形が起きるためだと考えられる。また、氷の年数に比例して厚さが増加しており、リュッツォ・ホルム湾における定着氷の厚さの経年変動は氷の年の数に依存しているといえる。 さらに定着氷の中でも一年氷の成長は熱力学的成長が主だと考えられるため、ASAR画像によって分類できた各年の一年氷の氷厚の再現を一次元モデルを用いて試みた。概ね再現することができたが、年によっては誤差があるものもある。積雪の影響やモデル内に使用しているパラメーターなどについてより深く考察を深めることが、今後の課題である。 |
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成果となる論文・学会発表等 |