共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

安定同位体プローブ法による寒冷域アマモ群落マイクロバイオームの亜酸化窒素代謝解析
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 日大生物資源
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 中川達功

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

高橋令二 日大生物資源 准教授

2

土屋雄揮 日大生物資源 助教

3

福井学 北大低温研

研究目的 沿岸海域のアマモ群落の泥には温室効果ガスである亜酸化窒素N2Oを軽減する機能があることが明らかになってきた。しかし、どの程度のN2Oが微生物の窒素代謝系に吸収されているのかは未知である。そこで、本研究では安定同位体プローブ法を使用して亜酸化窒素代謝に関わるアマモ群落底泥マイクロバイオームを明らかにすることを目的とする。
  
研究内容・成果 北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの厚岸臨海実験所を利用し、2019年8月7日に厚岸湖のアマモ群落の底泥を採取した。アマモ群落砂泥を100mLガス洗浄ビンに1cmずつ砂泥を入れ、その後海水を入れた。塩化アンモニウム(15NH4Cl)で培養したアンモニア酸化バクテリアを使用して、アンモニア酸化バクテリアから発生されるN2Oガスをチューブにつなげ、ペリスタポンプを用いてガス洗浄ビンに循環させた。アンモニア酸化バクテリアから発生されるN2Oガスを1時間に約200mLのガスが流れる速度で流した。培養後5日目のアンモニア酸化バクテリアが入っている培養ビンをN2O発生源として使用した。アンモニア酸化バクテリアは30℃で培養し、アマモ場砂泥サンプルは20℃で培養した。アマモ場砂泥が入っているガス洗浄ビンに10日間循環させた。その後、約1cm毎にビン内の砂泥を回収し核酸を抽出した。抽出した核酸は等密度勾配超遠心を用いた安定同位体プローブ法、MiSeqを用いた亜酸化窒素還元酵素遺伝子nosZのメタゲノム解析、および硫黄酸化系clade IIタイプに特異的なnosZ遺伝子を標的としてリアリタイムPCRに供した。培養後3cmの層ではメタゲノム解析およびリアリタイムPCR 解析共に他の層よりも硫黄酸化系clade IIタイプ(Dechloromonas-Magnetospirillum-Thiocapsa)が高い数値を示した。しかし、安定同位体プローブ法の結果、15N-DNAは痕跡程度しか検出されなかった。以上の結果より、硫黄酸化系clade IIタイプ(Dechloromonas-Magnetospirillum-Thiocapsa)がN2Oを吸収する微生物として可能性はあるが、N2O吸収活性実験装置の改善を行う必要がある。
  
成果となる論文・学会発表等