共同研究報告書


研究区分 研究集会

研究課題

冬眠休眠研究会
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 北海道大学大学院獣医学研究院
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 坪田 敏男

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

園山 慶  北海道大学大学院農学研究院 准教授

2

岡松 優子 北海道大学大学院獣医学研究院 講師

3

砂川 玄志郎 神戸理研CDB 基礎科学特別研究員

4

志水泰武 岐阜大学連合獣医学研究科 教授

5

斉藤 昌之 北海道大学大学院獣医学研究院 名誉教授

6

渡邊 正知 福山大学薬学部 教授

7

中尾 玲子 徳島大学大学院医歯薬学研究部 講師

8

宮崎 充功 北海道医療大学 准教授

9

塚本 大輔 北里大学 助教

10

下鶴 倫人 北海道大学大学院農学研究院 准教授

11

正木 美佳 九州保健福祉大学 薬学部 講師

12

姉川 大輔 東京大学薬学部 大学院生

13

佐藤 佑哉 東京大学薬学部 大学院生

14

江藤 毅 新潟大学朱鷺・自然再生学研究センター 助教

15

山口 良文 北海道大学 低温科学研究所 教授

16

Oleg GUSEV 理化学研究所 チームリーダー

17

佐藤 雄大 新潟大学大学院自然科学研究科 大学院生

18

鎌田 泰斗 新潟大学大学院自然科学研究科 大学院生

19

山田 新太郎 新潟大学大学院自然科学研究科 大学院生

20

島岡 弘樹 岐阜大学連合獣医学研究科 大学院生

21

相馬 司 北海道大学大学院獣医学研究院 大学院生

22

石本 太我 北海道大学獣医学部 学部学生

23

吹田 晃享 理化学研究所 大学院生

24

LUO Xiaofei 北海道大学大学院獣医学研究院 大学院生

研究集会開催期間 平成 30 年 6 月 23 日 〜 平成 30 年 6 月 24 日
研究目的 本研究集会は寒冷圏への動物の適応戦略である「哺乳類の冬眠」に焦点を当て、日本各地の冬眠研究者が一同に介して情報交換および議論を交わすことを目的とする。熊の冬眠生理学研究の第一人者である北大獣医学部の坪田敏男が代表、今年から低温研に着任した哺乳類の冬眠を専門とする山口良文が世話人として、1泊2日形式で開催する。理学・医学・薬学・獣医学などの幅広い分野の研究者が集まり、日本の冬眠研究コミュニティの足場の形成を促進する。本研究集会が焦点を当てる「哺乳類の冬眠」は、低温科学研究所が目指す寒冷圏の生物の適応戦略理解に合致しており、低温研での開催は今後の日本の冬眠研究の発展にとって非常に有益である。
  
研究内容・成果  本研究集会「第2回冬眠休眠研究会」は、低温科学研究所の支援を受けて開催された。初日は、研究代表者の坪田のツキノワグマの体温および心拍変化に関する研究の紹介から、新潟大学グループによる野生下のコキグガシラコウモリの冬眠時の興味深い行動の報告、さらに新潟大学と北里大学のグループからシマリスの冬眠にまつわる演題が2題報告され、聴衆一同いきなり冬眠の奥深さと面白さに引きこまれる展開であった。その後も2日目の終了までの間に、全国各地から集まった研究者によって、シリアンハムスターの冬眠における低体温耐性さらにはその筋萎縮への応答性や褐色脂肪の発達様式、脳における生化学的変化等の報告、さらには野生生物の休眠、実験モデル生物マウスにおける休眠の研究、胚発生時の休眠像など、様々な話題が提供された。さらに特別講演として、北海道大学獣医学部名誉教授の斉藤昌之先生をお迎えして、ヒト褐色脂肪組織の発見からその生理的意義に関する研究を頂いた。褐色脂肪組織は元来、冬眠動物に多量に認められる組織として見出されてきた経緯もあり、褐色脂肪と冬眠の関わりについても活発な議論が展開された。
 以上のように、研究会を通じて、哺乳類の冬眠の多様性と普遍性に関する議論が随所において展開された。これらの交流を通じて、研究者同士の情報交換と交流を深まったといえる。実際、本研究集会をきっかけとして新たな共同研究も生じている。研究会には、事前登録の国内各所からの参加者に加え、北海道大学で冬眠に興味を持つ他部局の研究者および学生の参加も複数見受けられたことからも、本研究集会は、冬眠現象の基礎知識や現状を仕入れるための場としても有用に機能することが示された。このように、本研究集会は、寒冷圏の生物の適応戦略としての冬眠の理解を進める上で、日本におけるコミュニティの形成という点でも他分野の研究者への波及効果という点においても、非常に有意義であったと結論できる。今回の研究集会の母体となった冬眠休眠研究会自体は今後全国各地での開催を予定しているが、低温研での支援による開催も今後定期的に継続していくことで、冬眠研究分野のさらなる発展にも資すると期待される。
  
研究集会参加人数 31 人