共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
小型エアロゾルセンサーとPM2.5センサーの比較検証及び寒冷地用低温動作試験 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 北海道大学大学院工学研究院 |
研究代表者/職名 | 助教 |
研究代表者/氏名 | 安成哲平 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
松見豊 | 名古屋大学宇宙地球環境研究所 | 教授 |
2 |
的場澄人 | 北大低温研 | 助教 |
研究目的 | シベリア域を対象としたPM2.5に関するデータ解析研究は存在するが(e.g., Yasunari et al., 2018, Sci. Rep., doi:10.1038/s41598-018-24335-w),PM2.5の観測はなく解析値の現場検証ができていない.しかしながら,冬季シベリア域は極寒となり観測機器の通年設置による観測にも困難が伴う.そこで,PM2.5の測定を行う際に低温環境下での継続測定が問題なく行える必要があり,そのための基礎的実験が必要である.そこで,寒冷環境下でPM2.5センサーを使用する際のセンサー用自動温度制御断熱箱の最適化を目的とし,断熱性能やPM2.5測定データ検証実験及び測定値と札幌市内の測定点におけるPM2.5観測値との比較検証を行った. |
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研究内容・成果 | 名古屋大学(分担者の松見名誉教授のグループ)と(株)パナソニックが共同開発した小型PM2.5センサー(Nakayama et al., 2018, Aerosol Sc. Tecnol., 52, doi:10.1080/02786826.2017.1375078)を2台使用し,そのうち1台は自動温度制御のための白熱電球ヒーターを内蔵した断熱箱に入れてヒーターを温度コントローラーで制御しながらPM2.5を測定した(5℃より温度が下がるとヒーターが作動する設定).断熱箱側面の穴の数(2個もしくは4個)と穴の大きさを変えてPM2.5濃度(μg/㎥)と温度の関係を評価するための測定を行った(φ=4,14,24,36mm).また,空気孔1箇所にファンを取り付けて断熱箱内の換気を行った.常温下では線香の煙で微粒子を発生させ,扇風機で撹拌を行い,PM2.5を測定した.低温下では断熱箱内の温度を記録した.1回の実験で常温下では4分,低温下では15分間微粒子を発生させた.また,センサー2台(断熱箱あり・なし)を工学部屋上に設置し,PM2.5を連続測定し,測定された値から1時間平均値を計算して札幌市内の観測値(1時間値)との比較を行った. 常温下での実験の結果を元に,センサー2台の測定値が十分整合的になる条件として,穴の数2個(片方にファンを設置),φ=36mmとして測定を続けることにした.低温下では,以上の条件において断熱箱内の温度をプラスに保つように概ね良く制御されており,断熱性能の確認ができた.また,屋外での測定の結果,市内の観測点における測定値に対して例えば,国設局との比較においては,1時間値との比較において良好な線形関係が認められ(R^2=0.50),日平均値で比較すると非常に強い相関関係(R^2=0.89)が認められることが分かった.このことから, 断熱箱内には外気が十分良く取り込まれ,外気が寒冷な場合においても箱内の温度を概ね零下にならないように保てることがわかった. 断熱箱内の自動温度制御による断熱性能や外気のPM2.5を問題なく測定できることがわかったため,今後は,断熱箱のより小型化や改良に向けた開発を継続する.また,作成した断熱箱と小型PM2.5センサーをシベリア域などに設置し,森林火災等による大気汚染の観測を行うことを検討している. |
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成果となる論文・学会発表等 | 若林成人,安成哲平,松見豊,的場澄人,寒冷地におけるPM2.5測定用自動温度調整断熱箱最適化のための測定実験, 第26回衛生工学シンポジウム, 札幌, 2018年11月. |