共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
好適環境水で飼育した魚・甲殻類のアミノ酸安定同位体比の測定 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 岡山理科大学工学部バイオ・応用化学科 |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 山本俊政 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
力石嘉人 | 北大低温研 |
研究目的 | 本研究の目的は,生物の生育に必要不可欠な塩分元素を最低限の濃度で調整した人工飼育水である「好適環境水」に関して,飼育した魚・甲殻類を対象に,アミノ酸の安定窒素同位体比(15N/14N)を測定することで,その高効率・低コストでの飼育を可能にしているメカニズムを探る。好適環境水で飼育することにより引き起こされた「魚・甲殻類の代謝機能・活性の変化」が明らかになれば,好適環境水の有用性を示す決定的な科学的根拠になると考えている。 |
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研究内容・成果 | 好適環境水(特許番号5062550, 4665252, 5487378, 4665258, 5487378, 5364874)は,生物の生育に必要不可欠な塩分元素を最低限の濃度で調整した人工飼育水であり,(1) 海や湖を使わずに,陸上施設で,魚・甲殻類の無菌養殖が可能,(2) 海水・淡水問わず,多くの魚介類で単重量餌あたりの成長率が高い,の2つの特徴から,食用魚・甲殻類を完全家畜化(天然生態系からの隔離)し,水産資源の安定的な獲得・増産と自然保護が両立できる「夢」の高効率・低コスト・低汚染の養殖技術である。しかし,開発当初より「高効率・低コストでの生産を可能にしている科学的根拠・裏付けに乏しい」という課題を抱えている。 そこで,本研究では,好適環境水で飼育した魚・甲殻類(スズメダイ,ヒメマス,バナメイエビ)ついて,アミノ酸の安定窒素同位体比を測定し,生育水と生物のエネルギー消費量の関係を調べた。 本共同研究により,低温研でアミノ酸の安定窒素同位体比を測定した結果,好適環境水で飼育した魚・甲殻類では,安定同位体の濃縮率に有意な差が出ることがわかった。これは世界発のデータであり,かつ,生物のエネルギー消費量が,飼育水(海水・淡水・好適環境水)により異なることを示す。また,その差は一様ではなく,生物種により異なることもわかった。今後は,本年度の共同研究で得られた知見をもとに,再現性を確認するとともに,代表的な魚種(マタイやトラフグ)に対象を広げ,好適環境水を用いた飼育の「高効率・低コストでの生産を可能にしているメカニズム」を明らかにしたいと考えている。 |
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成果となる論文・学会発表等 |